2020 Fiscal Year Annual Research Report
Factors facilitating emergence of innovation in the platform ecosystems.
Project/Area Number |
18K12874
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 祐樹 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 助教 (80812388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラットフォームエコシステム / 探索的イノベーション / 経験的エージェントシミュレーション / マルチホーミング / ビデオゲーム市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プラットフォームエコシステムで革新的な補完財を生み出すためのプラットフォームのルール・機能の要件を明らかにすることを目的とした。当初は複数市場の比較分析を想定していたが、特にビデオゲーム市場の研究において、補完者側への分析結果が国際誌Technological Forecasting and Social Changeに、消費者側の分析結果が国際学会ISPIMに、シミュレーションの実装成果が国際学会Academy of Management Annual Meetingにおいて受理されたことから、この市場に焦点を絞って研究を実施した。 本研究の主題は補完者がプラットフォームエコシステムで革新的な補完財を生み出す要件に関するものであったが、最終的には「プラットフォーム技術の探索性」と「補完者マルチホーミングへのプラットフォーム企業の投資」の二つの要因に着目した。これは、補完者によるイノベーションはプラットフォーム技術に大きく依存すること、そして補完者マルチホーミングはその特性からイノベーションの内容に制約をかけることが想定されたためである。39のゲームハードウェア、20,292のゲームソフトウェア、1,231のゲームプレイヤーに関するデータに基づいて、エージェントシミュレーションシステムを構築した。シミュレーション実験の結果、適度な探索性とマルチホーミングの時間的に動的なガバナンスの採用が、プラットフォームエコシステムのイノベーション創出において最も高いパフォーマンスを上げることを示した。加えて、補完者にとって適度な探索性は、プラットフォーム企業にとっての適度な探索性と大きくことなることも示した。本成果に関する論文ドラフトの執筆は既に完成させており、近日中に国際的なプラットフォーム研究者とのディスカッションを実施して意見をいただいた後に、国際誌に投稿する予定である。
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