2020 Fiscal Year Research-status Report
イスラーム銀行利用者の購買行動分析に適用可能な宗教性を評価するための新指標の確立
Project/Area Number |
18K12875
|
Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
上山 一 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80626226)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | イスラーム銀行 / 消費者行動 / 宗教性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までは、イスラーム銀行利用者の意思決定に影響を与える宗教性を定量的に把握できる指標を設定した。そして、聞き取り調査のために、当該指標を含む質問項目を作成した。さらには、作成された質問表に基づき、聞き取り調査の実施国であるヨルダンでの調査準備を行った。他方で、質問表の内容については、協力機関との間に合意が成立したが、具体的な調査の実施には至らなかった。 当該年度は、ヨルダンでの聞き取り調査を実施する予定であったが、新型コロナ感染症の蔓延により、同国での聞き取り調査は実施できなかった。 また、当該年度は、既に論文として発表したヨルダンにおけるイスラーム銀行利用者の購買行動に関する研究成果と他の国を分析した既存研究との比較を行うことにより、本論文の検証結果の一般性を確認した。本論文においては、宗教的な動機、イスラーム法の遵守度に関するイスラーム銀行利用者の評価(宗教的な態度の代理変数)、借入のしやすさといった複数の要因がイスラーム銀行利用者の利用意図に対してプラスの効果を与えていることが確認された。既存研究との比較により、宗教的動機よりも宗教的な態度がイスラーム銀行利用者の継続的な利用意図により大きな影響を及ぼしているという独自性が確認された。 また、こうした比較研究から得られた知見は、今後実施される聞き取り調査に基づくイスラーム銀行利用者の態度形成や購買意図に関する分析に際して大いに活用できるとものと思料される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
バーレーン、アラブ首長国連邦およヨルダンでのイスラーム銀行利用者を対象とした聞き取り調査については、引き続き、同地域での新型ウィルスの感染拡大により、現状では、実施できない状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型ウィルスの感染拡大という状況はあるものの、研究目的の達成のために、対象国での聞き取り調査を速やかに実施し、本研究課題の検証に必要なデータの入手を行いたい。特に、調査実施が合意されているヨルダンでの聞き取り調査については、引き続き、速やかな実施を目指したい。
|
Causes of Carryover |
当該研究費が生じた理由は、本研究課題が海外での聞き取り調査に基づいているためであり、また、調査内容に関して、現地の調査機関との協議が必要となるからである。他方で、現地での聞き取り調査の実施は引き続き、同地域での新型ウィルスの感染拡大により、大幅な遅れが生じている。このことから、次年度は速やかに調査を行うことによって、聞き取り調査に関する予算を執行する予定である。
|