2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of New Index for Evaluating Religiosity that is Applicable to Analysis on Purchasing Behavior of Islamic Bank Customers
Project/Area Number |
18K12875
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
上山 一 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80626226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イスラーム銀行 / 消費者行動 / 宗教性 / 態度形成 / ロイヤルティ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、ヨルダン大学戦略研究センターと聞き取り調査実施に関する合意が成立したことから、ヨルダンでの調査を行うことが可能となった。具体的には、2023年10月から11月にかけて聞き取り調査が実施され、738人の調査データが得られた。また、当該調査からは、回答者の人口学的・社会的属性、銀行との取引内容、銀行の選択理由、宗教性、顧客態度やロイヤルティ、顧客満足度等のデータが得られた。 その後、回答データを用いて、顧客の宗教性がイスラーム銀行利用者(顧客)の購買意思に及ぼす影響について、因子分析と回帰分析によって考察を行った。まず、宗教性については、因子分析によって、下位尺度である3つの因子が抽出された(宗教的実践・関与、宗教的経験、宗教的知識)。さらには、これら3因子がイスラム銀行利用者の態度(選好)形成に及ぼす影響を明らかにするために、3因子を説明変数、顧客態度を被説明変数とする因果モデルを回帰分析によって考察した。回帰分析の結果、宗教的知識のみが、イスラーム銀行へのポジティブな顧客態度に貢献していることが確認された。次に、イスラーム銀行利用者の態度形成が顧客のロイヤルティ(利用意図)に及ぼす影響を明らかにするために、顧客態度を説明変数、ロイヤルティを被説明変数とする因果モデルを回帰分析によって考察した。回帰分析の結果、イスラーム銀行に対してポジティブな態度を示す顧客ほど、イスラーム銀行が提供する金融サービス(金融商品)を利用する強い意図を持っていることが確認された。 以上の考察より、宗教性はイスラーム銀行に対する顧客態度を媒介として、銀行サービスの利用意図に対して間接的な影響を与えることが確認された。そして、「宗教的知識」が態度形成に影響を与えていることは、先行研究とは異なる新たな知見として指摘することができる。
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