2018 Fiscal Year Research-status Report
A theoretical and empirical study of impact of hedonic and utilitarian benefits on user innovation
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18K12878
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
本條 晴一郎 静岡大学, 工学部, 准教授 (50506748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ユーザーイノベーション / 消費者イノベーション / 製品開発 / マーケティング / 消費者行動 / 商学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、利用者自身が製品の創造・改良を行うユーザーイノベーションに注目が集まっている。ところが、消費者がユーザーイノベーションを実現するにあたり、消費に対する態度と製品の創造・改良の実現がどのような関係にあるかは十分に解明されているとはいえない。本研究の目的は、消費者として重視する感情的な側面と実用的な側面がユーザーイノベーションにどのような影響を与えるかについて明らかにすることである。 研究初年度である平成30年度は、(1)研究全体の基盤となる理論研究および(2)途中経過および副産物として得られた研究成果の報告を行った。 (1)の理論研究においては、消費者行動論の既存研究のレビューを通して、消費の感情的な側面である快楽的便益と実用的な側面である功利的便益を、ユーザーイノベーションの調査に適合する形に整理した。同時に、消費者の行うユーザーイノベーションについての既存研究を整理した。さらに、快楽的便益と功利的便益を実現する営みであるデザインがイノベーションにどのように生かされているかを射程に含めた既存研究の整理を行った。 (2)の研究成果の報告においては、日本商業学会、研究代表者が企画運営メンバーを務める日本マーケティング学会ユーザー・イノベーション研究会、世界のユーザーイノベーション研究者が集うOpen and User Innovation Conference 2018で報告を行った。報告の際に参加者と議論を行うことで研究内容に関わる情報の収集にも努めた。また、既存研究の整理によって得られた知見を日本各地の大学(名古屋大学、立命館大学、九州大学)が主催する一般の参加者に開かれたセミナーで報告するとともに、教科書(『1からのデジタル・マーケティング』)および学術研究の文献リストを付記した一般向けの解説論文(本條 2018)として出版することで、社会・国民への発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては、初年度に理論研究および日本国内での定量調査を行い、最終年度である次年度に米国での定量調査および研究成果の発表を行う予定であった。しかし、本研究を着想する上で基盤となった文献の著者である海外の研究者が年度の終盤に来日し、議論を行うことができたため、そこで得られた知見を調査の設計に織り込むべく調査の実施タイミングを次年度に変更した。一方で、理論研究の知見が豊饒であったため、次年度に予定していた研究成果の発表を初年度から行うことができた。以上のことから、当初予定していた研究活動はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成31年・令和元年度は、(1)日本での定量調査、(2)米国での定量調査を行った上で、(3)研究成果の報告に努める。 (1)の日本での定量調査においては、日本国内の消費者を対象とした大規模定量調査を行い、概念化した快楽的便益と功利的便益がユーザーイノベーションの実現にどのように関わっているかを実証的に明らかにする。日本での定量調査は初年度に実施する予定であったが、本研究を着想する上で基盤となった文献の著者である海外の研究者が年度の終盤に来日し、議論を行うことができたため、得られた知見を調査の設計に織り込むべく実施タイミングを平成31年・令和元年度に変更した。 (2)の米国での定量調査においては、日本国内で実施した調査と比較可能な状態とするために質問票をバックトランスレーションの手法で翻訳した上で、米国で日本国内と同様の調査を行い、実証的研究の理論的妥当性向上および文化による差異の理解に努める。 (3)の研究成果の報告においては、国内外の学会報告・学術論文公刊・査読付き論文雑誌での発表を行う。また、広く社会・国民に発信するため、書籍としての公刊や、ビジネスセミナーでの講演、公開研究会の開催、SNSを含むウェブサイトでの公開など、多種多様な形での発表を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究を着想する上で基盤となった文献の著者である海外の研究者が年度の終盤に来日し、議論を行うことができたため、そこで得られた知見を調査の設計に織り込むために、定量調査の実施タイミングを次年度に変更した。そのため、初年度に予定した質問票調査委託費の執行が次年度に持ち越され、次年度使用額が生じた。 次年度に、初年度に予定した定量調査を実施することを計画している。
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Research Products
(7 results)