2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K12881
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
長谷川 翔平 法政大学, 経営学部, 准教授 (30712921)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マーケティング・リサーチ / 分位点回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,分位点回帰をマーケティング・データへ応用することで,消費者の行動をより深く理解し,マーケティング戦略への示唆を得ることである。経営学ではデータを分析する際に様々な統計モデルが用いられるが,その多くは平均または条件付き期待値を推測するモデルである。マーケティングでも同様に条件付き期待値を求める統計モデルが使われ,その結果に基づいてマーケティング上の意思決定が行われる。しかし,条件付き期待値を推定しただけでは不十分な場合が多くあり,例えば,ある製品の販売数量が少ないときまたは多いときにどのマーケティング変数が影響しているか知りたい場合などが挙げられる。そのような場合,分位点回帰を用いることで,各分位点でのマーケティング変数の効果を分析することができる。 平成30年度は,分位点回帰を用いた広告効果測定を中心に研究を行った。購買情報と広告接触を同時に記録したシングルソースデータを用いた分析では,条件付き期待値を推定するモデルでは売上に対して広告効果がないと判断される場合でも,分位点回帰による分析では上位分位点の売上貢献度の高い顧客には広告効果があるという結果が得られた。また,売上集計データを用いた分析も行い,競合製品のマーケティング活動の影響に関して考察を行った。この分析からは,下位分位点では競合関係にないが,上位分位点では競合関係となる状況があることが分かり,値引きやプロモーションなどのマーケティング活動を行う際の競合対応について新しい示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の学内業務として学部運営に携わっていたため,学会発表や論文執筆を行う時間が不足した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,最初に分析モデルの改善を行う予定である。近年はマーケティング活動で収集されるデータ量や変数の数が増加しているが,現在,本研究で用いているアルゴリズムは変数が増えると非効率となる。そこで,変数選択やスパースモデリングなどの新たなアルゴリズムを導入することでモデルの改善を行う。次に,ID付POSデータを用いて,消費者の異質性を考慮した分析を行う予定である。また,顧客満足度を測定するモデルへ分位点回帰が応用できるか検討を行う。顧客満足度とそれを規定する要因は線形関係ではなく非線形関係であるという先行研究もあり,顧客満足度が低い顧客と高い顧客ではどのような違いがあるのか,研究を進めることで明らかとしたい。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究が想定していた達成度まで達しなかったことにより,物品費や旅費への支出が少なかった。次年度は研究の進捗を進め,積極的に学会等で研究報告を行っていきたい。
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