2020 Fiscal Year Research-status Report
原価企画に対するエンジニアの受容とコンフリクト解消の方策
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18K12905
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Research Institution | SBI Graduate School |
Principal Investigator |
小林 英幸 SBI大学院大学, SBI大学院大学 経営管理研究科, 教授 (20790124)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原価企画 / ミドルアップダウンマネジメント / 行動的原価企画 / トヨタ自動車 / 本田技研工業 |
Outline of Annual Research Achievements |
トヨタ自動車㈱(以下、トヨタ)と本田技研工業㈱(以下、ホンダ)の原価企画活動のあり方について、中心的に活動する4部署(チーフエンジニア(以下、CE)/(ラージプロジェクトリーダー(以下、LPL)、設計、調達/購買、原価企画車種/機種担当)へのアンケートとヒアリングを進め、原価企画活動に従事する人たちの心理と成果の関係を分析する、行動的原価企画の研究を展開してきた。具体的には、前年度までにヒアリングを終えていた各部署に加え、トヨタの設計と調達の両部署にヒアリングを行った。これにより、両社4部署へのアンケートとヒアリングが完了した。 その結果、原価企画に対する設計と調達/購買の関わり方の点で、両社の違いが浮き彫りになった。端的に言えば、トヨタが設計変更による原価低減をより強く志向するのに対し、ホンダでは買い方改善による原価低減をより強く志向する。したがって原価低減活動の中心に位置するのは、トヨタでは設計であり、ホンダでは購買ということである。 一方、今年度後半には、トヨタの前CEを囲んで研究者6名による討論を毎週1回開催してきた。この活動により、トヨタの原価企画活動が、CEを中心とする大きなミドルアップダウンマネジメントの下で、その活動と、原価企画担当者を中心とするより小さなミドルアップダウンマネジメントによる活動が、重層的に行われていることが明らかになりつつある。この点はLPLと原価企画チームによるホンダでの重層的な活動でも同様なのかどうか、確認が必要である。 この研究は新年度でも続いており、年度中に論文集の形で書籍化することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、一時ヒアリング先へのアプローチが滞り、ヒアリングが進まないことがあった。その後リモートでの連携が円滑に行われるようになり、遅れをいくらか挽回しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の共同研究者であった海外の2名に代わり、大阪市立大学、大分大学、中央大学、名古屋市立大学の5名の研究者と、今春までトヨタ自動車に在籍したCE経験者に私を加えた7名で研究を続けている。 研究のテーマとしては、原価企画のトヨタ・ホンダ比較に加え、原価企画活動のミドルアップダウンマネジメントの重層構造、原価企画における車両担当の役割、原価や品質の方針管理、原価企画にまつわる国際税務などと多岐にわたる。 2021年度中に出版することを目指して、研究活動を推進中である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、当初予定していた企業への訪問や学会への参加が見送られ、あるいはリモートによる参加となったため、旅費の支出が計画よりも少なくなりました。また、インタビューの文字起こしの機会も減り、謝金の支出が計画よりも少なくなりました。 次年度では延期になったインタビューなどの活動が行われるうえに、共同研究者との書籍出版を目指した活動が本格化するため、旅費を中心に支出が増えると考えています。
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Research Products
(2 results)