2021 Fiscal Year Research-status Report
Research about Public sector audit : Analysis of archived UKAC audit reports
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18K12907
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 恭司 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (20779798)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公監査 / 地方自治体 / 行政監査 / 行政経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英国およびわが国の地方自治体の監査委員監査を研究対象としている。監査委員監査の中でも行政監査に主眼を置いて、その改善に向けて英国地方自治体監査委員会(UK Audit Commission)が作成し、英国政府にアーカイブされている監査結果を収集し、その分析を行っている。資料の収集は完了し、精読するとともにテキストマイニングの手法を通じて一定の傾向がないかについて解析を進めてきた。時代に応じて「内部監査」「財務」「情報の活用」について数多くに考察がなされており、地方政府の改善に精力的に取り組んできたことが確認された。ただ、通時的に見たときに連続性を見ることが難しく、一貫した論理がないかについて英国地方自治制度の変遷と照らし合わせて考察をすすめている。 また、英国の自治体監査にかかる先行研究においては、イングランドの制度が研究対象の中心となっている。本研究では、ウェールズでの実地調査を行っており、Social Well-beingの向上を主眼として監査が実施されており、わが国の監査委員監査に大きな示唆があることが期待される。また、スコットランドでは、新型コロナウイルスの感染対策に伴う歳出を除外しても、財政状況が逼迫する傾向ある。堅固な財務的な基盤を確立するために監査部門が大きな役割を果たし始めている。こうしたイングランド以外の英国の取組に注視していきたい。 わが国の行政監査の結果についても、現時点での状況を都道府県、政令市を中心に考察を行ってきた。各自治体においては、監査委員が適宜、自治体の組織内を横断的に検証することができるテーマを設定し、それぞれの方法で監査を行っている。近時では、補助金の執行、公の施設の管理、防災体制の再検証が多く行われている。英国と比較し場合には、他自治体の比較による行政の経済性、効率性および有効にまで踏み込んだ検証が数少ないことが改めて確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究当初の計画では、英国でのヒアリング調査を中心とした国外調査を行い、英国の地方自治体監査の現状について実態研究を行うこととしていた。しかし、世界的な新型コロナウイルスの感染に終息が見られず長期化したため国外での調査が不可能となった。あわせて、国内の監査委員事務局へのインタビュー調査を計画していたが、新型コロナウイルスの影響で、国内での対面による調査が困難となった。 英国地方自治体監査委員会(UK Audit Commission)が作成し、公表されている監査結果報告書についてテキストマイニングの手法により解析を進めている。テキストマイニングに専門的知見を有している専門家とも意見交換をして進めてきたが、PDFや紙媒体の文書を素材とした場合には、ノイズが多くデータのクリーニング作業が難しいことが確認できた。そのため、研究期間の延長を申請し、承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイスル感染が終息しないことを想定し、既に収集した文書の精読するとともに自然言語処理を用いた研究に転換して、研究の進捗を高めたいと考えている。また、都道府県および政令市では、地方自治法の改正により内部統制制度が開始され、内部統制評価報告書の作成、公表ならびに監査委員による意見書の作成・公表が義務づけられている。内部統制制度は、財務会計行為を主眼として実施されているが、行政の経済性、効率性及び経済性の監査においては、監査を実施する際の基盤といいうる。わが国行政監査の近時の傾向に加えて、内部統制評価報告書および内部統制評価報告書と対照を行い、地方自治体のマネジントとガバナンスの向上に資する研究としていきたい。 あわせて地方自治体の各種委員や監査委員に関する業務を受託することが多いことから本研究で得られた知見をわが国の地方自治体監査委員監査の発展に貢献できるよう積極的に社会に還元していくこととしたい。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた国内外の実地調査が、新型コロナウイルス感染状況に終息が見られず、実地実施できなかったことから旅費の支出をしなかったため
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