2020 Fiscal Year Research-status Report
Financial Characteristics of Organizational Restructuring Successful Company -Empirical Analysis Focusing on Goodwill and Financial Characteristics-
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18K12908
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
奥原 貴士 四日市大学, 総合政策学部, 特任准教授 (50711090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | のれん / 財務特性 / キャッシュ / 追加投資 / M&A / 組織再編 / 将来業績の決定要因 / 投資の効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
のれんと将来業績との関係に着目し、M&Aなどの組織再編前後の財務特性や追加投資・追加買収が将来業績に及ぼす影響を調査するために実証分析を行った。 まず、のれんを計上した企業においてその後の、のれんや設備投資の増加は、将来業績に対してマイナスの影響を及ぼしていることが明らかになった。他方、研究開発投資、広告宣伝投資に関しては有意な結果が示されなかった。そして、のれん増加に関する組織再編投資、設備投資、研究開発投資、広告宣伝投資の投資効率性に対して、企業の財務特性 (キャッシュ保有量) が影響を及ぼしているが、その影響は投資ごとに異なっていることが示された。たとえば、キャッシュ保有量が比較的大きい企業は、組織再編に関して比較的に効率的投資を行っている。キャッシュ保有量がきわめて大きい企業については、研究開発投資に関して比較的に効率的投資を行う傾向があるが、設備投資に関しては過剰投資が行われている。 続いて、のれんを計上した企業における期末キャッシュ保有量と翌年の追加投資・追加買収との関係について分析を行った。そして、期末キャッシュ保有量が組織再編後の追加投資・追加買収の効率性に対して影響を及ぼしていることが明らかになった。たとえば、期末キャッシュ保有量が比較的大きい企業が、比較的大きな追加投資や追加買収を行った場合、のれんと将来業績との関係がプラスになることが明らかになった。また、期末キャッシュ保有量が中程度の企業が、中程度の追加買収を行った場合、のれんと将来業績との関係がプラスになることが明らかになった。他方、期末キャッシュ保有量が比較的大きい企業が、きわめて大きな追加投資や追加買収を行った場合および、きわめて小さな追加投資や追加買収を行った場合には効率的な投資が行われていないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度 (平成30年度) に助成金について前倒し申請が認められてから、12月に分析に必要なデータを購入したため研究の進捗が遅れた。そして、本年度はコロナ禍の影響により学会・研究会が中止になったものがあるため、研究の進捗状況は計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に明らかになった、のれんを計上した企業における期末キャッシュ保有量と翌年の追加投資・追加買収との関係について市場がどのような評価をしているのかを明らかにするために株価データを用いた分析を行う。そして、これらの影響が業種によりどのように異なるのかを調査する。 続いて、のれんが将来業績に及ぼす影響と、研究開発投資・設備投資・広告宣伝投資といったのれん以外の主要な投資が将来業績に及ぼす影響についても、市場がどのような評価をしているのかを明らかにするために株価データを用いた分析を行う。そして、これらの影響が業種によりどのように異なるのかを調査する。 次に、のれんが将来業績に及ぼす影響に対して、財務報告のクオリティーがどのような影響を及ぼしているのかを明らかにするために実証分析を行う。財務報告のクオリティーには、将来キャッシュフローの予測精度などを指標として用いる。加えて、のれんを計上した企業における期末キャッシュ保有量と翌年の追加投資・追加買収との関係に対して、財務報告のクオリティーがどのような影響を及ぼしているのかに関しても調査を行う。 そして、これらの結果に関して、学会報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究に必要なデータを追加購入したが、本年度の助成金すべてを使用するには至らなかった。また、コロナ禍の影響で参加を予定していた学会・研究会がオンライン開催または中止になり、このための参加費・旅費等の予算が必要なくなった。これらから、次年度使用額が生じた。
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