2021 Fiscal Year Research-status Report
Financial Characteristics of Organizational Restructuring Successful Company -Empirical Analysis Focusing on Goodwill and Financial Characteristics-
Project/Area Number |
18K12908
|
Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
奥原 貴士 四日市大学, 総合政策学部, 特任教授 (50711090)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | のれん / 財務特性 / 財務報告の質 / 会計発生高の質 / M&A / 組織再編 / 将来業績の決定要因 / 投資の効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、M&Aなどの組織再編によりのれんを計上した企業のその後の将来業績と、企業の財務特性との関係を明らかにすることである。本年度は、のれんと将来業績との関係に対して、当期首および当期末の財務報告の質がどのような影響を及ぼしているのかを検証した。財務報告の質と投資の効率性との関係について分析を行っている先行研究では、財務報告の質が高い企業では、過剰投資や過少投資が抑制され投資の効率性が高まることを明らかにしている。この財務報告の質の指標には会計発生高の質などが用いられている。 これらをふまえて、本研究では会計発生高の質を財務報告の質の指標として用いて実証分析を行った。本研究では、分析に用いることができる最新の年度である2016年度にのれんが増加した企業を対象としている。 まず分析結果から、当期のれん増加と将来3年間の業績との関係に対して、期首の会計発生高の質がプラスの影響を及ぼしていることが明らかになった。よって、当期のれん増加に関するM&A投資に関して、期首の財務報告の質がプラスの影響を及ぼしていると解釈できる。 続いて、M&A後の追加投資であるのれん増加と将来2年間の業績との関係に対して、期末の会計発生高の質がプラスの影響を及ぼしていることが明らかになった。よって、M&A後の追加投資に関して、期末の財務報告の質が影響を及ぼしていると考えられる。 本研究の貢献は次のとおりである。のれん増加前の当該企業の財務報告の質が、のれんと将来業績との関係に対して、どのような影響を及ぼしているのかを調査している先行研究は今のところ見当たらない。また、のれん増加後の当該企業の財務報告の質が、のれんと将来業績との関係に対して、どのような含意を有しているのかを調査している先行研究も今のところ見当たらない。よって、本研究の結果は実証結果の蓄積に貢献しうると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
毎年参加していた研究会がコロナ禍により中止となったため、研究の進捗が予定よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、分析に用いることができる最新の年度である2016年度のみを対象として実証分析を行った。今後は、分析に用いることができるすべての年度を対象とし、より多くのサンプルを用いて、のれんと将来業績との関係に対して、当期首および当期末の財務報告の質がどのような影響を及ぼしているのかを検証するために実証分析を行う。そして、このようなことを市場がどのように評価しているのかを調査するために株価データを用いた実証分析も行う。
|
Causes of Carryover |
学会がZOOM開催となったことや研究会が中止となったことで旅費の支出がなくなったため。
|