2023 Fiscal Year Annual Research Report
Financial Characteristics of Organizational Restructuring Successful Company -Empirical Analysis Focusing on Goodwill and Financial Characteristics-
Project/Area Number |
18K12908
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
奥原 貴士 四日市大学, 総合政策学部, 特任教授 (50711090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | のれん / 財務報告の質 / 会計発生高のクオリティ / リーダビリティ / M&A / 組織再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、M&Aや子会社化などの組織再編によりのれんを計上した企業における、のれんと将来業績との関係に対する、組織再編前後の財務報告の質の影響を検証することである。本研究では、財務報告の質の指標として会計発生高のクオリティ (AQ) およびリーダビリティを用いることで、財務報告の質がのれんと将来業績との関係にどのような影響を及ぼしているのかを検証している。 最初に行った予備分析では、本分析のサンプルにおいても先行研究と同様にのれんの金額が大幅に増加した企業ほど将来業績が悪化することが示された。次に、のれんと将来業績の変化との関係に対して、期首の財務報告の質 (AQとリーダビリティ) がプラスの影響を及ぼしていることが示された。続いて、のれんと将来業績の変化との関係に対して、期末の財務報告の質 (AQとリーダビリティ) がプラスの影響を及ぼしていることが示された。 以上の結果から、財務報告の質 (AQとリーダビリティ) が高くなるほど、のれん計上に関する組織再編投資やその後の追加投資・追加買収に対して、より効率的な投資が行われていることが示唆された。すなわち、のれんを計上した企業において期首と期末の財務報告の質は、将来業績の変化の決定要因の1つであるといえる。これに関しては先行研究でも述べられている次の点が影響していると考えられる。財務報告の質が高い企業は、情報の非対称性を減らすことができ、投資について適切な資金調達が行われる。効率的投資を妨げるモラル・ハザードや逆選択の問題を軽減できるため、過剰投資や過少投資を抑制できる。そして、M&A等によりのれんを計上した企業の将来業績を予測することは投資者にとって非常に重要となっているが、当該企業の財務報告の質は株式等への投資を検討する際の有効な判断材料であるといえる。
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