2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12909
|
Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
濱村 純平 桃山学院大学, 経営学部, 講師 (30803580)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 相対的業績評価 / 業績指標 / 非協力ゲーム理論 / 任意開示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の初年度である平成30年度は、交付申請書に基づき、管理会計における相対的業績評価の話題に関して、経済学モデルを構築した。現在、相対的業績評価研究に応用可能な数理モデルのうち、クールノー競争とベルトラン競争といった製品市場での競争を仮定した研究についての理解を深めるため、これらのモデルを応用した研究を中心に分析及び論文サーベイを行なっている。 その成果の1つとして、製品市場での企業間の競争を仮定し、CEOに対する相対的業績評価を利用している企業における業績指標の選択に関する研究を行なった。これまでの相対的業績評価研究では理論・実証を問わず、利益が業績指標として利用されていると仮定して分析が行なわれてきた。これに対し、我々は業績指標として売上高も選択可能なケースを分析した。分析の結果、特定のパラメータの組み合わせにおいて、競争に直面するすべての企業が売上高を相対的業績指標として利用することを示している。この結果は、これまでの理論研究はもちろん、実証研究に対しても重要な含意をもつ。つまり、これまではほとんどの研究が相対的業績指標として利益を利用していると仮定していたが、この研究の結果を利用すれば、状況次第では売上高を業績評価指標として利用するケースもあることがわかり、これを考慮した分析が必要であるという示唆を与えている。なお、この研究は現在、論文として執筆しており、これから英文校正を依頼するという段階である。その後、日本国内の分析的会計研究会、応用経済学会で報告の後、会計の国際学術誌に投稿する予定である。 この研究が終わったのち、製品市場での競争を仮定した任意開示に関する研究を参照し、本課題で目的とする分析を行なう準備を行なう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は研究実績の概要に記載したとおり、製品市場での競争を仮定した研究のサーベイを行ない、実際に分析を行なっている。具体的には市場での競争を仮定した振替価格に関する研究を4本執筆し、1本が国際誌に受理、1本が英語でワーキングペーパーとして公刊、1本が国内誌に受理、残り1本が国内誌での査読の最終段階まで進んでいる。 また、相対的業績評価における業績指標に関する分析を行ない英語で論文を執筆しており、まもなくワーキングペーパーとしての公刊が可能な状況である。以上のような客観的理由から、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの項目に記載したとおり、本課題は計画にそって研究が進展しているといえる。したがって引き続き、相対的業績評価に関する含意を得るために、製品市場での競争を仮定したモデルに基づいた分析を行なう。得られる成果は本年度と同様に、日本語・英語の両方を用いて論文を執筆し、国内・国際学会における研究報告とともに、査読つきの学術誌への投稿・掲載を進め、国内外へ向けた研究成果の発信を行う。
|
Causes of Carryover |
年度末の研究会への参加の際、科研費だけでは足りなかったため、本学の学内研究費を利用した。次年度は昨年度より直接経費の額が少ないため、その分の補填として英文校正と国際学会の旅費に利用する予定である。
|