2019 Fiscal Year Research-status Report
企業情報の開示前における情報漏洩の可能性に関する実証分析
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18K12910
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
森脇 敏雄 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (60780830)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 会計学 / 適時開示 / 情報漏洩 / フェア・ディスクロージャー・ルール / 投資家間の情報の非対称性 / 沈黙期間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,企業情報が開示前に漏洩している可能性を実証的に明らかにすることである.当初の予定通り,2018年度に構築したデータベースを利用し,年次決算短信の公表前における沈黙期間の設定と投資家間の情報の非対称の関連性についての分析を行った.分析結果については,「沈黙期間の設定と情報の非対称性」と題し,2019年9月12日および13日に開催された日本経営財務研究学会・第43回全国大会(於:神戸大学)で報告した.その後,英文査読誌への投稿を目標とし,追加的な分析をし,論文執筆を進めた.論文の最新版では,(1)年次決算短信の公表前におけるビッド・アスク・スプレッドの水準は,株価,出来高,株式リターンの分散,デプスといった諸変数と関連性を持つこと,(2)年次決算短信公表日の6日前からビッド・アスク・スプレッドは拡大すること,(3)ビッド・アスク・スプレッドの拡大は,年次決算短信の公表前に沈黙期間を設定していない企業で顕著に観察されること,(4)公的情報の代理変数である経営者予想の改訂,アナリスト予想の改訂,および業績関連ニュースの報道のうち,経営者予想の改訂のみがビッド・アスク・スプレッドの水準と関連性を有することを析出している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,2019年度中に分析の方向性を固め,英文での執筆もおおむね完了した.よって,研究計画の遂行は順調であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究実績を踏まえ,2020年度は,沈黙期間の設定と投資家間の情報の非対称の関連性についての追加的な分析を進め,国内外での研究報告および英文査読誌への投稿を目指す.追加的な分析では,第1に,これまで単年度の分析だったものを複数年度に拡張する.第2に,沈黙期間の設定について,より精度の高いデータベースを構築する.第3に,分析結果の頑健性を確認するために,代替的なリサーチ・デザイン等を試す.
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Causes of Carryover |
分析対象期間を拡張するため,2019年度に購入した日経NEEDSティックデータファイル個別株式(複数気配版),IFIS Consensus Data(日本市場における主要証券会社のアナリスト業績予想平均値),日経記事テキストデータの3種類のデータベースについて,追加でデータベースを購入する.この他,国内外での学会報告,英文構成,および投稿料での支出を予定している.
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Research Products
(1 results)