2022 Fiscal Year Annual Research Report
Disclosure rules and opportunistic behavior of share repurchases
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18K12912
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
河瀬 宏則 福岡大学, 商学部, 准教授 (30755781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自社株買い / 利益発表 / 経営者報酬 / ディスクロージャー |
Outline of Annual Research Achievements |
主な研究実績として2つ挙げられる。1つはOta, Lau, and Kawase (2022) "Signal strength adjustment behavior: Evidence from share repurchases"のアクセプトおよび掲載である。もう1つは、河瀬・渡邊(2023)「経営者による私的便益獲得のためのToSTNeT 3 を用いた自社株買い」をワーキングペーパーとしていくつかのワークショップで研究成果を報告した。現在、改訂作業中であり、終わり次第投稿する予定である。 前者の研究は、企業が自社株買い、なかでも公開市場で立会時間内に行われる買付け(Open Market Repurchase; 以下、OMR)を公表する際、同時に業績に関する情報を公表しているかどうかに着目している。ここで、こうした設定のもとで、例えば同時にBad Newsが公表される場合、OMRの買付規模が拡大し、また買付期間が短縮することが示された。本研究の結果は、シグナリング仮説のさらなる理解を深めた点、そして経営者が戦略的にOMRプログラムを調整しうることを明らかにした点で貢献している。 後者の研究は、自社株買いのうち東京証券取引所の公開市場で立会時間外に行われる買付け(ToSTNeT-3)に着目している。先行研究から、ToSTNeT-3は実質的に相対取引であり、経営者は自社株買いを通じて私的報酬を最大化するという知見が得られている。また、経営者は株式価値について誰よりも情報を有していると考えられる。この観点から、経営者はToSTNeT-3を用いて私的報酬を得ようとしているかを検証した。結果については確定ではないものの、経営者の特性に注目し、現行制度に対する示唆を多く含む研究である。
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Research Products
(3 results)