2018 Fiscal Year Research-status Report
Research on dynamic capability which improves management accounting ability
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18K12914
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
吉川 晃史 熊本学園大学, 専門職大学院会計専門職研究科, 准教授 (20612930)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ビジネス・エコシステム / ダイナミック・ケイパビリティ / 管理会計 / 管理会計能力 / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ビジネス・エコシステムの観点から管理会計能力を変化させるダイナミック・ケイパビリティおよび管理会計能力の変化プロセスを明らかにすることである。ケイパビリティを変化させて長期的な競争優位性をもたらす組織ルーティンたるダイナミック・ケイパビリティのうち,管理会計そのものを変化させるダイナミック・ケイパビリティについての研究を進める。 そこで,本研究では,中小企業の管理会計の導入事例,レベルアップ事例の検討を通じて,1)ビジネス・エコシステムの相互作用を通じて,個々の企業の管理会計能力をいかに変化させるか,2)管理会計能力を変化させるダイナミック・ケイパビリティとして,エコシステムレベル,個社レベルでどのようなものがあり,どのように作用するかを検討する。 本年度においては,熊本県中小企業家同友会の事例を用いて,経営理念をはじめ経営指針を成文化し,導入後に時間をかけて社内に浸透させていくことを明らかにした。経営指針は経営理念,経営方針(ビジョン),経営計画の3つからなり,これらを成文化することが経営者の最も大切な義務,責任とされる。経営計画は,設定された目標と戦略にもとづき,それを達成するための手段,方策,手順を具体的に策定するもので,経営計画は,具体的には,中期経営計画,単年度の経営計画,そして各機能別の実行計画をさす。そこでは,経営指針を創る会というルーティンが,管理会計能力を変化させるダイナミック・ケイパビリティとして作用することが分かった。また,株式会社ヒライの事例における管理会計変化について、同社のアメーバ経営の変化についての研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイナミック・ケイパビリティ論による管理会計研究については,今後の研究展開が期待される分野である(例えばChanhall, 2009; Coad & Cullen, 2006)。そこで本年度では,管理会計能力を高めるダイナミック・ケイパビリティの実態を解明する前段階として,ダイナミック・ケイパビリティのマネジメントに焦点を当てた研究を調査し,研究の現状と動向について整理した。 また,フィールドワークについては,次の点について調査を行ってきた。 1. エコシステムレベル管理会計の導入・利活用支援:中小企業家同友会が,中小企業の管理会計実践の導入・レベルアップにどのような役割を果たしているか。会自身としてどのような変化を果たしてきているか。 2. 個社レベルの管理会計の導入・利活用:管理会計が,中小企業において,どのような導入ステップ・レベルアップを経ているのか。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施した文献調査やインタビュー調査,参与観察を基礎として,前年度のインタビュー調査・参与観察をフォローしながら,これまでの発見事項の一般性や特殊性についての分析を進める。具体的には、中小企業家同友会の会員をはじめとする中小企業への聞き取り調査を進める。 分析結果について,調査先との間で議論を行うことで理論的知見の妥当性を高める(Lukka & Modell, 2010)。管理会計能力を高める組織内,組織間のダイナミック・ケイパビリティに関する議論を進めていく。
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Research Products
(2 results)