2018 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study of Management Control Systems in Professional Organizations
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18K12915
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
角田 幸太郎 別府大学, 国際経営学部, 講師 (50549813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マネジメント・コントロール・システム / インセンティブ・システム / プロフェッショナル組織 / プロサッカークラブ / オックスフォード・ユナイテッド |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度(1年目)は①文献研究と②フィールド調査研究を行った。 ①文献研究:財務会計と管理会計の両方の立場から人的資源会計の測定・評価に関する先行研究のレビューを行った。 ②フィールド調査研究:4月下旬から5月上旬までの7泊9日の日程で、英国のリサーチサイトへ出向き、会計やマネジメント・コントロール・システムの実務に関する内部資料を提供して貰い、聴き取り調査を行った。調査先は、イングランド・プロサッカーリーグの実質3部に所属するオックスフォード・ユナイテッド・フットボール・クラブである。プロサッカークラブもプロフェッショナル組織の一形態であり、かつ、これまでの研究を通じて既にアポイントメントが取れているからである。前年度までの研究により、オックスフォード・ユナイテッドにおけるマネジメント・コントロール・システムの実務はシーズン毎に変化して改善が図られてきたことや、チーム成績に基づく個々のインセンティブ・システムが構築されたことが判明していたからである。 今回の調査では、主として2017/18シーズンのマネジメント・コントロール・システムの実務に関して、2017/18シーズン途中で退任したばかりの前会長や2017/18シーズン途中で就任したばかりの監督、長年秘書を務められている方などから聴き取りを行った。 インタビュー調査の際、通訳謝金を支払って、聞き取りやすい英語を話すことができる元・語学学校講師の英国人に通訳をお願いしたため、聴き取りはスムーズに行うことができた。1年目の研究経費は通訳謝金の他、旅費に充てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017/18シーズン途中で会長を退任したイールズ氏からの聴き取りによれば、「2017/18シーズン当初に就任した新監督の方針で、チーム成績に基づくインセンティブ・システムは大幅に変更された」ことが判明し、「たとえ上手く機能していたシステムであっても会長は口出しせず、監督の方針に任せる」ということであった。 オックスフォード・ユナイテッド・フットボール・クラブではマイケル・アップルトン氏が2014/15シーズンから2016/17シーズンまでの3シーズンにわたって監督を務め、その間にマネジメント・コントロール・システムやインセンティブ・システムを確立した。チーム成績も良好な結果を残し、チームを4部から3部に昇格させた。 そのアップルトン氏が2017/18シーズン初めに上位リーグのクラブに引き抜かれたことで新監督が就任したものの、チーム成績の不振により新監督はシーズン途中で辞任し、2017/18シーズンの途中でロビンソン氏が監督に就任した。 ロビンソン氏からの聴き取りによれば、「思い描いているものはあるが、シーズン途中で監督に就任したのでマネジメント・コントロール・システムやインセンティブ・システムを途中で変えることはできず、ひとまずは前監督が採用したシステムを踏襲した。新シーズンも指揮を執る場合は新しいシステムを導入する可能性がある」ということであった。 すなわち、2017/18シーズンまでのマネジメント・コントロール・システムの実務やそれまでの変遷は概ね把握できている。
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Strategy for Future Research Activity |
「新シーズンも指揮を執る場合は新しいシステムを導入する可能性がある」と示唆していたロビンソン氏が2018/19シーズンもチームの指揮を執ったが、どのようなマネジメント・コントロール・システムを新たに構築したのかは分かっておらず、再び聴き取りを行う必要がある。 また、2017/18シーズン途中で会長を退任したイールズ氏は「たとえ上手く機能していたシステムであっても会長は口出しせず、監督の方針に任せる」ということであったが、2017/18シーズンの途中から就任した新会長は、マネジメント・コントロール・システムの在り方や組織の在り方についてどのように考えているのか、聴き取りを行う必要がある。 2019年度(2年目)も再びリサーチサイトへインタビュー調査に出向き、マネジメント・コントロール・システムの実務の実態を把握し、その実務の体系性と類似性、およびインセンティブ・システム導入の有効性を検証する予定である。
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