2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological study on inter-sectoral collaboration on reorganization of urban space
Project/Area Number |
18K12925
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三浦 倫平 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (10756836)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 協働 / 公共空間 / プレイスメイキング / 我有化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都市計画の見直しに向けて官民協働で動き出している下北沢地域の北沢PR戦略会議の事例を対象にして、より良い公共空間(都市空間)の実現に向けてどのような「協働」の場が成立しているのか、その課題と成果について明らかにするということである。 具体的には、小田急線連続立体交差事業(鉄道の地下化)によって生み出された線路跡地や道路整備予定地、駅舎等の有効活用に向けて、どういった活動が行われ、どのような成果がもたらされたのか、またその課題について検討した。 その点で本研究は「協働」の実態を問う研究であり、これまでの研究をより発展させるものとして位置づけることができる。というのも、これまでの「協働」についての研究は規範的な議論が多く、その過程や課題に関する実証研究は多くないからだ。 そこで、北沢PR戦略会議の議論の場や活動の場にメンバーとして参加することで、都市空間の再編をめぐる「協働」の成果や課題を相互に理解するという研究方法を採用した。特に最終年度は「課題」についての分析を進めた。 その結果、「潜在的なニーズの可視化」「社会実験による新しい空間利用の可視化」「他団体・組織とのネットワーク形成」「公共空間の多機能化」「都市計画の一部見直し」といった成果が生み出されていることを明らかにした。こうした成果は、所有権を持たない都市空間を都市のユーザーたちが創意工夫して「支配」している点で「我有化」というルフェーブルの概念を現代的に再解釈して位置付けることが可能であることを示した。今後の課題としては、北沢PR戦略会議に今後どれだけ実質的に正統性や権限を付与していくことが出来るのか、既存の地域集団とのより密な連携を可能にするような新たな場の設定が必要になってくるという点を明らかにした。
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