2020 Fiscal Year Research-status Report
家族構造とジェンダーと労働市場に着目した自営業からの退出と退出後のキャリアの研究
Project/Area Number |
18K12927
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 一朗 大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教 (90740217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自営業 / 家族従業 / 非正規雇用 / 家族構造 / 社会階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、家族構造とジェンダーと労働市場の観点より自営業の安定性のメカニズムの解明をより進めるため、自営業における家族従業への参入メカニズムの解明、大型店舗が自営業の安定性に与える影響の把握、の2つに焦点を絞り研究を行った。前者の自営業における家族従業への参入メカニズムの解明については、分析をほぼ終えて解釈を進め、また同時に本研究の知見を共有するために学会報告、論文執筆を行った。後者の大型店舗が自営業の安定性に与える影響の把握については、予備的な研究を中心に行った。これまで本研究では標本調査によるデータを用いてきたが、大型店舗と自営業者数の地理空間的な関係を見出しにくかった。そのため、全数調査のデータによる観察を試みた。具体的には「国勢調査」(昭和55年, 60年, 平成2年, 7年, 12年, 17年, 22年, 27年)のデータを用いた。調査票情報の従属変数、独立変数となりうる変数を都道府県コード、市区町村コード、町字コード、基本単位区コード毎で集計した。その後、地域境界データを取得し、市区町村ごとでデータの可視化を実施した。また、大型店舗の地理空間的な情報を得るために前年度に購入した「大型小売店データ・ポイントデータ」を利用した。可視化された空間データを記述統計的に観察する限りでは、大型小売店数が小売自営業者数に地理空間的なラグを伴い影響を及ぼしている可能性が示された。とくに、大型小売店が増加した地域において、10年ほどのラグを伴い小売自営業者数の減少が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は自営業からの退出メカニズムの研究と退出後のキャリアについての研究に分けられるが、前者と後者ともに論文として公刊され、学会報告等の活動を行っている。また、それらの研究から派生した研究である家族従業への参入メカニズムの解明、大型店舗数と小売自営業者数の関係の把握についても、研究が進められている。そのため「おおむね順調に進展している」と自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
家族従業への参入メカニズムの解明、大型店舗数と小売自営業者数の関係の把握について研究を進め、同研究の当初の研究計画にあった自営業からの退出メカニズムの把握と合わせて取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
学会参加のための旅費やデータの整理業務が当初の予定ほど発生しなかったことが主な理由である。
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