2019 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生社会日本の医療を考える:中国帰国者の医療受診に関する実証的研究
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18K12929
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小笠原 理恵 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70814375)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイノリティ・ヘルス / 中国帰国者 / 医療社会学 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
4月7-11日にロトルア(NZ)で行われた国際学会「23rd IUHPE World Conference on Health Promotion」において、中国帰国者の語りから日本の文化的・言語的マイノリティ住民の健康格差の問題に関する口頭発表を行った。多くの質問も頂き、日本のマイノリティヘルスの取組みを世界に向けて発信できた。またウェリントンを訪問し、地域医療の要であるWellington Regional Hospitalおよび移民・難民に無料の医療サービスを提供するNewtown Union Health Serviceを視察。医師、看護師、マオリの健康管理担当者にインタビューを行った。 名古屋の支援団体スタッフとともに、長野県阿智村(中国東北部に開拓団を多く出した村)にフィールド調査。満蒙開拓平和記念館を訪問して担当者にインタビューするとともに、中国帰国者1世が多く通うデイサービス「羽場赤坂ディ」を訪問、担当者にインタビューを行った。 名古屋の多文化ソーシャル・ムーブメントおよび外国人高齢者と介護の橋渡しプロジェクト共同主催の一般公開セミナーに講師として登壇、「異文化コミュニケーション~人として気づき、気づかされて~」と題して、中国帰国者の日常医療受診の問題を取り上げた。 2020年2月から大学の春休み期間を利用して、国内のフィールドワーク(語りの収集)を実施予定であったが、コロナウィルス感染症の影響で保留せざるを得ない状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年2月から大学の春休み期間を利用して、国内のフィールドワークを集中して行う予定であったが、コロナウィルス感染症の影響ですべて保留せざるを得ない状況にある。調査対象者は高齢かつ日本語が不得手な人も多いため、ZOOM等を使ってのオンラインによるインタビューは不可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度終盤に予定していた国内のフィールドワークが、コロナウィルス感染症の影響で保留状態にある。2020年度に入っても感染症の影響はおさまらず、フィールド調査が再開できる見通しはたっていない。2020年度が最終年度にあたるが、フィールド調査が行えないという最悪の事態を想定し、中国帰国者支援交流センター等が発行している当事者の語りの記録など、既存の資料から健康や医療受診に関する記載を収集したり、すでに交流のある帰国者を対象にin-depthインタビューを行うなどの対応策を講じる。場合によっては、一年間の期間延長を申請することも考えたい。
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Causes of Carryover |
2019年度の終盤に国内のフィールドワークを集中して行う予定にしていたが、コロナウィルス感染症の影響ですべて保留せざるを得ない状況になってしまったことが、次年度使用額が生じた大きな理由である。当初は夏休み期間にフィールドワークを実施予定であったが、その期間はフィールドワーク先との調整が上手くいかず、春休みに延期せざるを得なかったことも当初の予定からは想定外であった。ただ、コロナウィルス感染症の影響は2020年度に入っても続いており、フィールドワークが再開できる目処はたっていない。可能であれば、1年間の期間延長を申請したいと考えている。
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