2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K12931
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
北島 義和 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (70782952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自然資源管理 / 紛争経験 / 北アイルランド / アクセス権 / レクリエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、イギリス領北アイルランドの都市ベルファストに隣接する丘陵地(ベルファスト丘陵)をめぐって、その土地を所有する人々とそこをレクリエーションのため利用する人々との間で生じている対立的状況、すなわち「農村アクセス問題」の実態について、この地域で長期にわたって続いた武力紛争の経験に注目しながら、明らかにすることである。 本年度は、北アイルランドおよびベルファストの社会状況について文献による情報収集に努めると共に、9月10日~9月23日と2月11日~2月27日の二度にわたってベルファストおよびアイルランド共和国の首都ダブリンに渡航し、昨年度と同種のフィールドワークをおこなった。 具体的には、まずベルファスト丘陵に関わる各セクターの代表者から構成される組織であるBelfast Hills Partnershipのマネージャーと理事数名に、インタビューをおこなった。さらに、丘陵に隣接する北および西ベルファストのコミュニティ組織関係者にも、インタビューを実施した。また、公文書館・公立図書館・大学図書館等において、ベルファスト丘陵や北および西ベルファストのコミュニティ組織に関わる資料の収集をおこなうとともに、昨年度に訪問できなかったレクリエーションスポットの利用・管理状況についても調査をおこなった。 現在までの調査で、北および西ベルファストのコミュニティ組織関係者たちの紛争経験、ベルファスト丘陵をめぐる経験、レクリエーションアクセスについての見解などについて、詳細なデータを得ることができた。また、ナショナルトラストと農民という、土地所有者へのインタビューも実施することができ、紛争やアクセスに関する彼らの見解の一端を明らかにすることができた。 上記の成果は、自然資源管理研究と紛争後社会研究の架橋を試みる本研究において根幹をなす部分であり、今後さらにその厚みを増やす必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の1回目の海外フィールドワークは、航空会社のストライキにより短縮と変更を余儀なくされ、コミュニティ組織のイベントの参与観察など、予定していた調査を実施しきれなかった。また、昨年度の懸案であった土地所有者、特に農民へのインタビューは、限られた量ではあるが実施することができたものの、依然不十分である。これに加えて、産業関係の土地所有者へのインタビューの見通しは、いまだ立っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、新型コロナウイルスによる影響のため、当初の研究計画において予定していた海外フィールドワークの実施が困難であると思われる。この最後のフィールドワークは、研究成果をまとめるためには欠かせないものであるため、研究期間の延長も視野に入れながら、状況を注視していきたい。
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