2023 Fiscal Year Annual Research Report
Long-term conflict experience and natural resource management in Northern Ireland
Project/Area Number |
18K12931
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
北島 義和 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (70782952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自然資源管理 / 紛争経験 / 北アイルランド / アクセス権 / レクリエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、過去3年間コロナ禍によって不可能であったベルファストでの最後のフィールドワークを、5月10日~22日に実施した。フィールドワークでは、まず現地の図書館や公文書館で資料収集をおこなうとともに、ベルファスト丘陵パートナーシップのマネージャーに聞き取りを行い、コロナ禍の間に現地で生じた様々な状況変化について把握した。また、今回は西ベルファストにあるカトリック地区に特に焦点を当て、この地区に隣接する山と様々な関わりをもって生活をしてきた住民たちに対しても聞き取りをおこなった。具体的には、山を反英的なスローガンの設置ために利用している政治活動家、山でのレクリエーションを地元の振興のために役立てようとしているコミュニティ活動家、レクリエーションのため山にやって来る人々の迷惑行為に悩まされている土地所有者、山の自然環境を保全するプロジェクトをおこなっている環境活動家などにインタビューを実施し、彼らの山をめぐるこれまでの経験や今後のビジョンについて把握した。その結果、彼らの山をめぐる実践は、状況を「紛争問題」として捉えるフレームと「都市問題」として捉えるフレームのグラデーションの中に、それぞれ位置づけることができると分かった。 そして、以上のフィールドデータを中心的に利用しながら、これまでの研究成果を論文としてまとめた。具体的には、環境的平和構築研究のこれまでの蓄積を参照しつつ、ベルファストのような比較的落ち着いた紛争後社会においては、自然環境や自然資源管理の関係要素として紛争や平和の問題を捉えるという視点が重要であることを述べ、その視点からベルファスト丘陵をめぐる状況について考察をおこなった。なお、本研究と類似の関心に基づいて日本でおこなってきた研究の成果も、共著本として出版した。
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