2020 Fiscal Year Research-status Report
日系アメリカ人の社会運動と日米安保闘争・沖縄返還闘争の連関のダイナミズム
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18K12933
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
大野 光明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80718346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベトナム反戦運動 / トランスパシフィック / 沖縄問題 / 日系人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1960年代後半から70年代前半の日系アメリカ人の社会運動と日本・沖縄における日米安保闘争と沖縄返還闘争とのつながりを、太平洋を横断する運動・思想という視座から歴史社会学的に分析するものである。 COVID-19により、2020年度に計画していたアメリカ合衆国と日本国内での資料調査、インタビュー調査、フィールドワークを実施できなかった。そのため、先行研究と2018~19年度に収集した資料の分析を行った。具体的には(1)ブラック・パワー・ムーヴメントとベトナム反戦運動の拡大、脱植民地化をめぐる思想と運動が、若いアジア系アメリカ人のラディカル化の大きな要因となっていたこと、(2)サンフランシスコでは、日系アメリカ人の運動が自己決定やアイデンティティ、大学制度、ジェントリフィケーションなど複合的な課題を問題化したこと、(3)アメリカと日本の帝国主義的な同盟関係を批判し、沖縄の軍事化を維持する沖縄返還政策と安保条約の更新を批判していたこと、などの知見が得られた。 その成果としては、研究代表者が企画したAssociation for Asian Studies年次会議でのラウンドテーブル”Okinawa as a Site of Global Militarism and Demilitarization: A Transpacific Inquiry”において、"Transpacific resonance of anti-Vietnam War movements, black power movements, and women’s liberation movements in Okinawa"での報告がある。また、得られた知見について「書評:シリーズ 日本の中の世界史 油井大三郎『平和を我らにーー越境するベトナム反戦の声』」『歴史学研究』999号でふれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はアメリカ合衆国内での資料調査、インタビュー調査、フィールドワークを主な方法としているが、COVID-19の影響で2020年度の現地調査は実施できなかった。この影響から、新たな資料とデータの調査が進まなかったため、進捗状況は遅れている。2020年度が最終年度であったが、2021年度までの研究期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染状況と日米間の渡航制限、日本国内の移動の可能性などをひきつづき確認しながら、アメリカ国内や沖縄などでの現地調査の可能性を検討したい。現地調査の実施が見込めない場合は、(1)資料・文献の分析・考察の成果を論文にまとめる、(2)オンラインでのインタビューや資料の取り寄せの可能性を探る、などの方法も検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染状況を確認しつつ、アメリカ合衆国や日本国内での調査、インタビューデータの文字起こし、論文執筆のための資料購入、学会発表に関する経費などに使用する予定である。
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Research Products
(4 results)