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2019 Fiscal Year Research-status Report

移民第二世代の教育と移民の親子への制度的支援に関する日韓比較研究

Research Project

Project/Area Number 18K12934
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

川本 綾  大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (90711945)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords移民第二世代 / 教育を受ける権利 / 母語・継承語教育 / 難民 / 在留資格
Outline of Annual Research Achievements

2019年度は、移民第二世代が抱えている教育にかかわる課題のうち、次の3つに焦点を当てて研究活動を行った。①母語・継承語の保障における東アジア(台湾)の事例、②日本の外国にルーツを持つ子どもの学校現場における課題、③移民第二世代の教育を受ける権利に対する検討である。
①にかんしては、近年「新住民の子」と呼ばれる移民第二世代の母語・継承語教育政策が始まった台湾に出向き、韓国の同政策との関連性や台湾原住民の言語・文化保障に関する運動や実践との連続性について検討した。
②については、所属先の都市研究プラザおよびAKYインクルーシブコミュニティ研究所と共同で、近隣2中学校区内の小学校と中学校を対象に、外国にルーツを持つ子どもを育てる保護者への質問紙調査を行った。その結果、母語・継承語の教育に対する保護者の意識が高いことがわかった。それと同時に日本語および教科教育に対するニーズが高いこともわかった。この調査は、来年度も引き続き実施する予定である。
③については、難民移住者を支援している団体にスタッフとして加わり、参与観察を行った。活動するなかで、第二世代といっても難民認定者であるかどうか、また在留資格の有無等、制度的な制約により、教育を受ける機会に格差が生まれていることがわかった。日本生まれ日本育ちで、日本語しかわからない移民第二世代の子どもの中にも、親に在留資格がなかったり、様々な理由で在留資格を持っていないケースがある。そのような場合でも子どもたちに在留資格が認められず、大学へ進学できたとしても在留資格上の制限で各種奨学金を受けることができないため、実際には進学が妨げられている。移民第二世代の子どもたちの学ぶ権利が、「子どもの権利条約」等、人権や国際的な合意に基づくべきなのか、在留資格や難民認定等、国内法上の身分に基づくべきなのかという、早急な検討が必要な課題と現状について確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2019年度は、一年を通して難民移住者支援団体での参与観察およびケース対応に集中し、現場の状況を学んだ。また非常勤講師と並行して勤務していたため、講義が終了する1月末頃から集中して外国にルーツを持つ子どもとその親へのインタビュー調査、韓国の母語・継承語教育政策にかかわる事後調査、及び子育て中の移住女性に対するインタビュー調査、韓国・台湾の母語・承語教育政策にかかわる現地調査、当事者へのインタビュー調査を実施する予定にしていた。しかし、新型コロナ肺炎の流行に伴う自粛や渡航規制によってすべてキャンセルになってしまった。zoomやskype等による調査も検討してみたが、インタビュー調査にはラ・ポールの形成が必須であり、初対面の調査対象者に画像を通してインタビューをするのは難しいと判断した。
しかし、今年度は、難民移住者の支援団体に専従スタッフとしてかかわる機会を得て、裁判支援、生活・医療・教育、労働等にかかわる行政および各種団体との折衝を行うなかで、制度的な制約により第二世代の子どもたちやその保護者が抱えざるを得ない課題について、当事者の目線からより深く知ることができたのは大きな成果である。

Strategy for Future Research Activity

2020年度も新型コロナをめぐる国際・国内的状況がまだ不透明であるため、海外調査の目途がたたないが、再開可能な状況になれば、親や第二世代の子どもたち、学校現場の教員等へのインタビュー調査を行いたい。その上で、政策が当事者たちに与える影響について国際的な比較分析を行い、関連学会で発表するとともに、論文としてまとめたい。
もしそれが不可能な場合は、今までの調査内容をまとめる作業に集中する。引き続き政策的な課題を検討するとともに、難民、在留資格の有無など、制度的な身分の有無が第二世代の教育に与える影響に焦点を当て、移住者のインタビュー調査をまとめた冊子を作成したいと考えている。

Causes of Carryover

新型コロナ肺炎の流行により、予定していた海外調査およびそれにともなう謝金の支出がなかったため。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 外国にルーツを持つ親子への支援にかんする地域社会の課題:「外国にルーツのある親子の実態とニーズに関する調査」報告より2019

    • Author(s)
      AKYインクルーシブコミュニティ研究所編
    • Journal Title

      外国にルーツを持つ子どもの支援に向けたアクションリサーチ:小中学校の教育現場からみえてくるもの

      Volume: URP「先端的都市研究」シリーズ22 Pages: 13-23

  • [Journal Article] 韓国における国際結婚移住女性の生存戦略と実践:ソウル市と京畿道安山市の結婚移住女性たちによる挑戦2019

    • Author(s)
      全泓奎編著
    • Journal Title

      東アジア都市の居住と生活:福祉実践の現場から

      Volume: 第9章 Pages: 146-164

URL: 

Published: 2021-01-27  

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