2021 Fiscal Year Research-status Report
移民第二世代の教育と移民の親子への制度的支援に関する日韓比較研究
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18K12934
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川本 綾 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (90711945)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 移住者 / 移民第二世代 / 難民 / 地域社会 / 社会開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もまた韓国、台湾などの海外調査がコロナ感染症拡大のため非常に制限されたため、国内に的を絞り、コロナ禍のなかで外国にルーツを持つ人々、特に在留資格をもたない人々の状況について調査研究を行った。具体的には、昨年度に引き続き難民移住者を支援している団体にスタッフとして加わり参与観察を行った。また可能な限り韓国のコロナ禍における移住者の状況についてオンラインのインタビュー調査を行った。 難民移住者の中でも在留資格のない親から産まれた子どもの場合、日本生まれ日本育ちであっても強制退去命令の対象となり、本人が日本で暮らすことを希望しても拒否されるのが現状である。生まれながらにして生きていく上で必要な資源へのアクセスが制限された「仮放免」の子どもたちが日本に約300人はいると言われている。友人たちと同じ将来を夢見ることも許されず、強制送還に怯えながら暮らすこの子どもたちの現状からは、「子どもの権利条約」等国際的な人権規約基準から著しく乖離した入管行政と人権が保障されない日本における難民移住者の地位が浮かび上がる。現在は親の身分的、経済的な不安定さが子どもへと再生産されざるを得ない状況であり、それを一刻も早く止揚する方法が求められている。その点に関し、制度的な整備のみならず地域社会における方策を探るため、2021年度は社会開発という視点からも研究を進め、日韓の難民移住者が地域社会で社会参加を行い、それが地域社会にとっても資源となっていくような実践事例について調査し分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初より計画していた韓国・台湾等東アジアの国や地域との比較研究が、2021年度もコロナ感染症拡大の影響を受け、調査ができない状況に陥ってしまった。また国内調査に関しても、コロナ感染症の拡大が止まず、まん延防止等重点措置がとられるなど、自由な移動がままならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外、国内ともに現地調査はしばらく見込めないため、アクセスが可能な当事者へのインタビューや、各種文献資料を外国にルーツを持つ母子が抱える課題について、在留資格をはじめとする制度上の制約等による影響や、エスニックコミュニティ、地域社会等が果たしうる役割についてについて検討する。そして、それらがコロナ感染症の拡大などの非常事態時にどのように影響するのかについても引き続き分析を進め、外国にルーツを持つ人々と共に誰もが排除されない都市社会を形成するための方策について検討する。最終的にはこれまでの研究成果について報告書等にまとめ、対外発信をしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度は移動を伴う調査や発表がほとんどなく、ほぼ全てがオンラインまたは発表会場が大阪市内だったため旅費が必要なかった。また 今年度はコロナ感染症の拡大状況を見て、調査旅行が可能であれば旅費に、また研究成果をまとめた報告書または書籍を作成することを計画しているので刊行費に使用する予定である。
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