2021 Fiscal Year Research-status Report
家族機能の外部化と社会的連帯に関する研究:1960~70年代の団地の保育施設から
Project/Area Number |
18K12952
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
本多 真隆 明星大学, 人文学部, 准教授 (60782290)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 近代家族 / 家族変動 / 戦後史 / 住民運動 / 社会的連帯 / 民主主義 / 団地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1960~1970年代の団地に全国的に設立された住民の自主運営による保育施設(「幼児教室」)に着目し、その設立や運営に関する実践および歴史的背景を明らかにすることで、日本における家族機能の外部化に関する社会的連帯についての基礎的視角を導出することである。その調査は、[調査①]1960~70年代の団地に関する調査研究、雑誌記事等の言説分析、[調査②]首都圏3箇所の団地の住民組織の刊行物の言説分析、[調査③]首都圏3箇所の団地の保育施設の関係者への聞き取り調査、の3点から行われる。 2021年度は、2019年度から継続していた[調査③]を行い、分析と成果の発表を行う予定だった。しかしCOVID-19感染拡大防止の観点から、いくつかの調査を延長せざるを得なかった(対象者に高齢者、後期高齢者が多いため)。そのため研究計画を一部変更し、(a)[調査②]の新資料の言説分析と、(b)1960~70年代における家族機能の外部化および社会的連帯の形成に関する思想および言論の言説分析を行った。 (a)については、2020年度に引き続き、個々の団地を超えた全国組織(全国幼児教室交流集会)についての資料を通して、全体的な歴史と動向について分析を行ったほか、女性労働者が自主的に立ち上げた保育施設に関する資料を新たに入手し、分析を進めている。(b)については、1960~70年代の革新系論者が「家庭」をベースとした市民社会の構築に関する議論を展開していたことに着目し、その時代背景および現代的意義について検討している。成果は2022年度に学会で報告し、論文化する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記[調査3]の一部が未実施だが、調査協力者とは連絡をとっており、引き続きご協力いただける予定である。 また上記(a)、(b)は当初の調査計画にはなかったが、予想以上の発見があり、学会報告、論文執筆の準備までに至っている。 以上から、一定の成果は達成できたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
感染状況に応じて、[調査3]を実施する予定である。また(a)の研究で明らかになった女性労働者が立ち上げた保育施設については、専業主婦が主体となった保育施設(幼児教室)との比較研究に繋げることを検討している。
|
Causes of Carryover |
covid-19感染拡大防止のためにインタビュー調査を延期したため、旅費等に次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(2 results)