2018 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の住まいと自然に関する歴史社会学：昭和初期の健康住宅の実践から
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18K12959
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| Research Institution | Kobe Shoin Women's University |
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Principal Investigator |
西川 純司 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 講師 (60771136)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 住宅・住まい / 自然 / 科学知識 / STS / アクターネットワーク理論 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、昭和初期の健康住宅を事例に、多様なアクターがどのように自然と向き合い、それを活用し、そしてその影響を受けていたのかを経験的に明らかにし、そこから近代日本における社会と自然の「共生」のかたちを提示することにある。本年度の研究実施状況は以下のとおりである。
（1）建築家や建築学者などの専門家、および政府や自治体、各種団体などの公的アクターを対象に資料調査および現地調査を実施した。具体的には、国立国会図書館にて、健康住宅に携わっていた藤井厚二に関する資料、および、新聞社や各種団体による健康増進運動キャンペーンや住宅設計競技の取り組みに関する資料を収集した。また、竹中大工道具館の企画展に参加し、情報収集を行った。
（2）収集した資料の整理・分析を行った。その結果、健康住宅の普及には藤井だけでなくその周囲の専門家や技術者の影響が少なからず見られることがわかった。とりわけ、京都帝国大学を中心とした関西での人的ネットワークの存在が浮かび上がってきた。また、健康増進運動キャンペーンや住宅設計競技に藤井をはじめ専門家たちが関わっていたことが明らかになった。具体的には、住宅設計競技に審査員というかたちで参加することで、直接的には健康住宅の普及に、間接的には日本全国の健康増進運動に、関与していたことが見えてきた。
（3）分析枠組みの精緻化のために、文献研究を進めたほか、国内外の複数の研究会に参加し情報交換を行った。とりわけ、科学社会学やSTS、人類学を横断する研究者が多く出席している4S 2018 Sydney（Society for Social Studies of Science Annual Conference）では、モノや自然に着目した欧米の研究動向を確認できたほか、参加した研究者とも情報交換ができた。また、文献研究の成果の一部を日本社会学会第91回大会にて口頭発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の実施予定は、【1】専門家と公的アクターに着目した調査研究、および、【2】文献研究であった。まず【1】に関して、専門家と公的アクターの両方を対象にした資料調査は予定通り行うことができた。しかし、公的アクターのうち行政組織（気象庁）に関する資料調査は十分にはできなかった。また、藤井が設計した現存住宅への現地調査についても実施することができなかった。他方、【2】文献研究については、国内学会大会での口頭発表や、国内外で開催された研究会への参加を通して、一定以上の成果が得られた。これらを総合的に見て、研究はやや遅れていると判断できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究目的（2）公的アクターおよび（3）居住者を対象にした調査研究を実施する。まず、（2）の公的アクターのうち行政組織（気象庁）に焦点を当てた補充調査を行う。具体的には、国立国会図書館などで資料を収集する。そのうえで、本年度の分析結果と合わせたうえで、論文投稿を行う。
また、（3）健康住宅における居住者を対象とした資料調査および現地調査を実施する。具体的には、国立国会図書館にて『主婦之友』や『住宅』などの雑誌を調査する。また、かつて治療や健康増進を目的として取り組まれていた日光療法について、現存する診療所を対象にした現地調査を行う。
さらに、引き続き方法論の検討も並行して進めていく。文献研究を進めるほか、国内外で開催される研究会への参加を通して研究動向の把握に努める。
そのほか、本年度に行うことができなかった現存住宅への現地調査についても実施することを予定している。
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| Causes of Carryover |
本年度予定していた資料調査の一部および現地調査が実施できなかったことで、次年度使用額が生じた。
翌年度の使用計画は以下のとおりである。まず、本年度に実施できなかった補充調査および現地調査を行う。具体的には、国立国会図書館（東京）での資料調査や広島県内の現存住宅に対する現地調査を予定している。また、次年度に予定している資料調査および現地調査を実施する。これについても、国立国会図書館（東京）での資料調査や長野県内に現存する診療所への現地調査を予定している。さらに、引き続き、国内外の複数の学会・研究会への参加を予定している。具体的には、本年度に引き続き4S 2019 New Orleans（アメリカ合衆国）に出席する予定であるほか、日本社会学会第92回大会（東京）への参加を検討している。
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Research Products
(1 results)
