2018 Fiscal Year Research-status Report
省察的実践の理論に基づくソーシャルワーク実践方法と省察ツールの開発
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18K12968
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
加藤 由衣 高知県立大学, 社会福祉学部, 助教 (30611991)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 省察的実践 / ソーシャルワークの構成要素 / 行為のなかの省察 / 行為についての省察 / 実践知 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成30年度は、省察的実践に関する先行研究の検討を中心に研究を進めた。具体的には、(1)ソーシャルワークにおける省察的実践の研究動向を整理し、(2)省察的実践家の専門職モデルの理論的特性をまとめることで、省察的実践の理論に基づくソーシャルワーク実践方法の構築にむけた基礎的研究を行った。 特に理論研究においては、本研究が省察的実践の理論に基づくソーシャルワーク実践方法の構築を目的としているため、ソーシャルワーク実践の4大構成要素(価値・知識・方策・方法)に着目し、それらが実践で機能するうえで、省察的実践がいかに寄与するかを検討した。そして、4大構成要素に対応する省察的実践の特徴をまとめ、省察的実践が、ソーシャルワークにおいて、①「行為のなかの省察」をとおして理論と実践を統合することと、②「行為についての省察」から過去・現在・未来を包括するプロセスであることを示した。また、そこでの形式知と実践知の位置づけを明確にすることで、ソーシャルワーカーの知を含めた実践方法の理論的基盤を整理できた。 これらの理論研究とあわせて、質的研究に関しては、省察的実践の特性抽出(「行為のなかの省察」と「行為についての省察」の要素の質的検討)にむけた調査デザインの検討及び調査対象者の選定作業を行った。今後は、質的研究法に基づくインタビュー調査の実施・分析から、省察的実践を構成するシステム要因を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究については、おおむね計画にそって進められているが、省察的実践の研究で先行する海外の文献を渉猟することに時間がかかっている。また質的研究については、1年目となる本年度中に行為の中の省察の特性抽出にむけたインタビュー調査の開始を予定していたが、研究デザインの企画に時間を要したため、インタビュー調査の実施にいたらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度のソーシャルワーク実践における省察的実践の理論特性の整理をふまえ、今後は、質的研究をとおしてソーシャルワーク実践にみられる省察的実践の構成要素を明確化し、省察ツールの開発にむけて研究に取り組んでいく。 まず理論研究では、ソーシャルワークにおける実践ツールの特徴や活用方法と、省察を促進するツールの要素や内容の分析を行う。また、インタビュー調査の実施から、①ソーシャルワーカーの実践にみられる省察(行為のなかの省察)の要素と②実践のふり返り(行為についての省察)における省察対象や要素の質的検討を進める。特にインタビュー調査に関しては進捗が遅れているため、スーパービジョンの場を活用するなど、計画的に実施していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
調査デザインの検討に時間を要したため、当初平成30年度に予定していたインタビュー調査を実施することができなかった。そこで、平成30年度に予定していたインタビュー調査を平成31年度に実施するため、その調査旅費として使用する。また、インタビュー調査のデータ分析用に購入予定だったノートパソコンも購入していないため、次年度に購入を予定している。
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