2020 Fiscal Year Research-status Report
省察的実践の理論に基づくソーシャルワーク実践方法と省察ツールの開発
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18K12968
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
加藤 由衣 高知県立大学, 社会福祉学部, 講師 (30611991)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 省察的実践 / 省察的実践支援ツール / エコシステム構想 / eスキャナー / クリティカル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目の2020年度は、新型コロナウイルス感染症のため、当初予定していたインタビュー調査の実施を見送らざるを得ず、文献研究によって研究を進めた。具体的には、(1)省察的実践の理論的特性の探究、(2)エコシステム構想からの省察的実践支援ツールの構成指標の整理を行い、省察的実践支援ツール開発の足がかりとした。 特に(2)省察的実践支援ツールの指標の構成では、コンピュータを活用した理論と実践の包括・統合化を試みるエコシステム構想を基盤にツールを開発することが有用と考えた。そこで本研究では、コンピュータ支援ツール「eスキャナー」に、省察的実践に求められる特性や要素を導入していく方法を採用していくこととした。そのために本年度は、ソーシャルワークの価値・知識・方策・方法という4つの構成要素をもとに、文献研究から省察的実践の実践特性に関する具体的な内容の質的帰納的分析・検討を行い、省察的実践支援ツールの構成指標の生成を進めた。 その結果、省察的実践に含まれる「自己」「姿勢」「基盤」「関連」「他者」「クリティカル」「行為」「変容」という8属性とその下位要素となる29の内容項目を導き出した。また、それぞれの内容項目間の関連性も見出しながら、ソーシャルワーカーがそれらの要素を総合的に身に付けることで省察的実践を促進できると考えた。これらの整理をもとに、今後は省察的実践支援ツールの具現化に着手していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究については概ね計画にそって進められているが、新型コロナウイルス感染症の流行により、予定していたインタビュー調査を中止せざるを得なかった。そのため、研究方法の変更・検討が必要となり、研究が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度整理した省察的実践支援ツールの構成指標をもとに、今後は、eスキャナーにその内容を導入しながら、省察的実践支援ツールの開発を進めていきたい。具体的には、そーシャルワーカーが自身の省察的実践の状況を認識・確認できるように、具体的な質問項目を作成していくことが必要となる。また、可能であれば質的調査を通じたソーシャルワーカーによる質問項目の確認を行なっていく。そして、構成指標・質問項目をeスキャナーに組み込むことで、省察的実践支援ツールの試行版を完成させ、その検証を実施していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施できなかったインタビュー調査について、2021年度は感染症対策を講じながら実施したいと考えている。そのための調査旅費、謝金として使用予定である。また、インタビュー調査のデータ分析用に購入予定だったノートパソコンも購入していないため、次年度に購入を予定している。
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