2020 Fiscal Year Annual Research Report
Developmental Study of Anti-Racism Social Work Practice Model for Introducing into Japan
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18K12970
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
宮崎 理 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (50770020)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 反レイシズム・ソーシャルワーク / レイシズム / ソーシャルワーク / 制度的レイシズム / インスティテューション / 交差性 / インターセクショナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、前年度に実施できなかったイギリスと日本での調査を実施する予定であった。しかし、covid-19の大流行の影響を受け、海外渡航ができなくなってしまった。また、日本での調査も限定的なものとならざるを得なかった。ゆえに、当初の研究計画から大幅な変更を余儀なくされた。 そのような中、引き続き反レイシズム・ソーシャルワークの理論研究を進めた。2020年5月に警察官による黒人男性殺害事件が米国で発生し、それに端を発してBlack Lives Matter運動(BLM)が拡大したことは、本研究の遂行にも大きなインパクトを与えた。まず、それら一連の出来事を契機に国内外で交わされた、レイシズムに関する諸議論を検討した。また、オーストリアやフランスなどのヨーロッパ諸国にも範囲を広げ、それらの国々のソーシャルワーク領域における反レイシズムの理論と実践について一定程度文献を検討することができた。こうした理論研究の遂行によって、本研究で当初より焦点を当ててきた「制度的レイシズム(institutional racism)」概念の有用性をより深く認識した。 また、限定的ではあったものの、日本におけるレイシズムの一端を明らかにすることを目的として、在日朝鮮人女性にインタービュー調査を実施することができた。この調査の結果、「交差性(intersectionality)」概念を導入することによって、レイシズムだけでなく複数の抑圧を同時に問題化することの必要性を明らかにした。 研究期間全体を通じて、当初計画していたように日本で適用可能な反レイシズム・ソーシャルワーク実践モデルを明示することはできなかった。しかし、この間取り組んできた理論研究と日本国内での調査を基盤として、日本のソーシャルワークにおいても「制度的レイシズム」概念が有用であり、応用可能であることを明確化することができた。
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Research Products
(1 results)