2021 Fiscal Year Research-status Report
Establish the interdisciplinary team for people with cognitive dysfunctions in the community setting
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18K12973
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
原 麻理子 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (40720884)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 連携 / 地域 / リハビリテーション / 脳損傷 / 生活支援 / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
「見えにくい障害」と言われる高次脳機能障害は、その障害特徴から社会福祉サービスにつながりにくく、相談支援数は他の障害と比べて少ない(身体障害33.5%、精神障害36.1%、知的障害21.5%、高次脳機能障害0.9% 総数に対する相談支援利用割合 障害者職業総合センター 2013)。この理由の1つに医療機関が高次脳機能障害者支援に関する社会福祉サービスの情報を十分に持っていないことがあげられる。 昨年度、医療機関に勤務する42人のリハビリテーション専門職に実施した調査では、高次脳機能障害支援拠点機関の存在を知らないものは10人、高次脳機能障害支援コーディネーターの存在を知らないものは13人であった。自由記載欄には、医療者側の社会福祉サービス事業所に関する知識不足、医療機関と社会福祉サービス事業所の連携不足の現状を指摘する回答が複数あった。 一方、介護保険サービス事業所や障害福祉サービス事業所などの社会福祉サービス事業所は高次脳機能障害者の支援経験や専門的知識が少ない。そのため支援に難渋し、高次脳機能障害の専門的知識を持つ医療機関との連携を求めている。 昨年度、介護保険サービス事業所や障害福祉サービス事業所の職員19人に実施した調査では、「対象者について医療機関へ問い合わせをしたいと思うか」との問いに対し、8名は「常に思う」、9名は「時々思う」と回答した。また医療機関から提供が少なく、介護保険サービス事業所、障害福祉サービス事業所から要望が多い情報は「避けた方がいい活動(仕事、家事、趣味等)」であった。自由記載欄には「発症前の情報が欲しい」「今後の見通しを教えて欲しい」などの声が複数あった。 今年度はこれらの調査結果を分析し、結果をもとに医療機関と社会福祉サービス事業所の情報交換用紙試案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度の調査結果にもとづき、医療機関から介護保険サービス事業所や障害福祉サービス事業所へ高次脳機能障害者支援の申し送りを行う際に用いる情報交換用紙試案を作成した。介護保険サービス事業所、障害福祉サービス事業所からの要望にもとづき「専門用語をなるべく使わない」様式とした。また同じく要望が多かった「避けた方がいい活動」の記載を盛り込んだ。合わせてリハビリテーション専門職の情報提供書作成平均時間が26.4±13.4分との調査結果にもとづき、30分程度で作成可能な内容とした。 一方、昨年度に引き続き、調査対象地域で新型コロナウイルス感染症の拡大が続いていた。そのため調査対象の医療機関、介護保険サービス事業所、障害福祉サービス事業所とも、その対応に追われていた。そのため情報交換用紙試案に関する意見交換はできていない。また情報交換用紙の試用そのものも難しい状況であった。そのために遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
医療機関と障害福祉サービス事業所、介護保険サービス事業所の情報交換や連携に関する現状、情報交換用紙に対する要望について質問紙調査は終えている。そして調査結果を分析し、これにもとづく情報交換用紙試案は作成した(医療機関のリハビリテーション専門職が作成し、障害福祉サービス事業所や介護保険サービス事業所の職員が受け取る→障害福祉サービス事業所や介護保険サービス事業所が各サービスの提供途中あるいは提供終了後に医療機関に対してフィードバックを行う。以上を行うための用紙となっている。)。 今後は作成した情報交換用紙の試用を依頼する。そして試用後に①情報交換用紙作成に要した労力(時間)、情報の伝えやすさ、②情報交換用紙の内容についての理解しやすさ、③高次脳機能障害者支援への貢献度について、調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は調査対象地域で新型コロナ感染症拡大が続き、医療機関、障害福祉サービス事業所、介護保険サービス事業所で情報交換用紙試用が開始できなかった。そのため謝金の支払いが生じなかった。 次年度は、本年度作成した情報交換用紙について、医療機関に勤務するリハビリテーション専門職42人、介護保険サービス事業所と障害福祉サービス事業所の職員19人に対し試用依頼および試用結果に対する質問紙調査を行う。そのための謝金、郵送料、印刷代などが必要となる。
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Research Products
(7 results)