2019 Fiscal Year Research-status Report
神経難病患者の家族介護者に対する包括的サポートシステムの構築
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18K12982
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
仲井 達哉 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (90758054)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経難病 / 家族介護者 / 患者医師関係 / サポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、神経難病患者の在宅療養環境の整備ならびに安定性且つ継続性のある療養支援体制を見据え、その最も身近な支援者となる家族介護者のサポートシステムの構築に向けて、家族介護者を取り巻く公私双方の関係性に着目し、包括的に検討することを目的としている。 今年度は、実態把握としてのインタビュー調査の実施を計画し、その準備・情報収集として国際学会への参加を行った。とりわけ地域における支援体制について国内外の先進事例の収集と、家族介護者へのアプローチを中心に情報収集を図ることができた。主なものとして、患者QOLの増減には病状進行・重症化に比して、家族内関係や家族ライフサイクルの関与が著しいこと、患者支援と家族支援のバランスへ注視することで支援効果に奏功すること、欧米においては疾患特性を考慮して特定の難治性疾患の患者やまたその家族介護者のみを対象とするようなサロンが各所で展開されるなど、家族介護者の支援への注目が高まっていること、そして患者や家族介護者にとってのフォーマル資源となる医療チームの形成状態や構成・関係性が、そのまま患者や家族介護者と医療チームとの関係構築に影響をおよぼすことなどを整理することができた。 それらを踏まえ、今年度は、神経難病患者の家族介護者および実際の支援チームにコーディネート機能の視点から関わる医療ソーシャルワーカーを対象としたインタビュー調査の実施に向け、川崎医療福祉大学倫理委員会への審査申請を行い、承認を得た。しかし、インタビュー調査の実施段階において、国内での新型コロナウイルス感染症の拡大が生じはじめたことを受け、インタビュー調査の実施方法や実施時期について再検討するに至った。次年度は、実施準備の整ったインタビュー調査を実行すること、ならびにその調査結果を踏まえた量的調査を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度に実施を予定していた家族介護者および医療ソーシャルワーカーを対象としたインタビュー調査の実施において、その実行段階で新型コロナウイルス感染症の拡大情勢が著しくなってきたため、調査実施を見合わせ、実施時期を再検討するに至った。次年度に向けては、実施を見合わせているインタビュー調査の実施方法と実施時期を新型コロナウイルス感染症の情勢を踏まえて再考したうえで、代替方法の検討も視野に入れて実行に移すとともに、その結果を踏まえた量的調査の実施を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の実施を見合わせた質的調査(家族介護者および医療ソーシャルワーカーを対象とした実態把握を意図したインタビュー調査)を実施し、家族介護者にとっての医療専門職とりわけ主治医との「関係性」に焦点化した介護実態を調査する。さらに、質的調査で得られた実態・内容をもとに、家族介護者を対象とした介護実態と取り巻く公私のサポート状況について、定量的調査を行う予定とする。しかしながら、質的調査については新型コロナウイルス感染症拡大の経過によってはその実施を再考する必要があることを考慮する。なお、研究成果は随時、学会発表および学術論文にて公表する予定である。
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Causes of Carryover |
情報収集を目的とした学術集会への参加費用が当初計画よりも少額となったことと、今年度の質的調査の実施を見合わせたことにより、調査費用が発生しなかったことが挙げられる。また、当初計画では定量的調査の実施に向けた準備として、統計分析に必要なソフト等の購入費を想定していたが、質的調査の見合わせによる影響で、量的調査の実施を次年度に見送ったことなどから、量的調査にかかる準備費用等も繰越すこととなり、次年度使用額が生じた。経費の使用計画としては、次年度配分予定額と併せて、質的調査にかかる旅費等調査費用、および量的調査の実施に向けた印刷費、郵送費、データ解析ソフトの購入費などへの使用、さらに研究成果のまとめならびに公表のための学会参加旅費、論文投稿費用として使用する。
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