2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of self-coping support tool for dementia family caregivers' well-being and caregiving environment
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18K12993
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清家 理 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (90626061)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / well-bing scale / 内的妥当性 / 外的妥当性 / セルフコーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症の介護現場では介護専門職の離職が続き、家族介護者のあらゆる課題に懇切丁寧に関わることが難しい状況にある。専門性の高さが要求される部分に焦点化して専門職が関わる形式が最善である。そのためには、まず介護者が自らの介護状況(客観的・主観的)を把握でき、状況に応じた対処(コーピング)について、自ら実施するもの、専門職に委ねるものと判断・行動の指針が示され、判断・行動の結果をも確認できる指標が必要である。 以上により本研究の目的は、認知症の家族介護者の健康(身体的・精神的・心理的)および介護環境(内的:介護感情、外的:公的な支援および私的な支援等)に対するセルフコーピングを支援するツール開発である。本研究では、認知症の介護者の心身の健康および介護環境の測定を「well-being の測定」と操作的に定義している。その上で、目的完遂のために3段階の研究展開(1:プレ調査集団にて構築された認知症家族介護者版well-being scaleの外的妥当性検証を拡大母集団にて実施、2:介護者のパーソナリティ特性とスケール得点パターンの相関分析、3:2の結果に基づく、認知症家族介護者版wellbeing scale活用マニュアル作成)を予定している。 本年度は、第1段階の研究精度を高めるために、2点のプレ調査(①認知症家族介護者版well-being scale内的妥当性検証時の認知症家族介護者への聞き取り面談の再分析、②well-being scale外的妥当性の検証)、認知症家族介護者版well-being scale再現性テスト準備、Scaleの外的妥当性検証の対象者を拡大させるための行政機関への交渉を実施した。現在、外的妥当性の検証は終了している。また本年度の調査で得られた結果の一部は、認知症の人および家族介護者に対するケア啓発への貢献として、シンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、第1段階の研究(プレ調査集団にて構築された認知症家族介護者版well-being scaleの外的妥当性検証を拡大母集団にて実施)の精度を高めるために、2点のプレ調査(①認知症家族介護者版well-being scale内的妥当性検証時の認知症家族介護者への聞き取り面談の再分析、②well-being scale外的妥当性の検証)を実施した点は一見、廻り道に見える可能性がある。しかし、家族介護者が語っている内容やニーズから乖離していない状況も確認しながら、外的妥当性の検証を進められた点は、より介護実態に即し、かつ科学的に精度の高い認知症家族介護者版well-being scale開発につながる強みである。新しいscaleが介護者のために使えない、無用の長物になるリスクも低減できる。さらに、認知症家族介護者版well-being scale再現性テスト準備、Scaleの外的妥当性検証の対象者を拡大させるための行政機関への交渉を実施しているため、廻り道をした分、研究進捗に支障が出たという状況ではないと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2018年度の続きで、外的妥当性検証が終わった認知症家族介護者版well-being scale再現性テストの実施、様々なエリアに居住されている、より多くの認知症家族介護者を対象とした外的妥当性の検証を実施する予定である。特に、検証の対象者数(以下、被験者数)が増えるほど、認知症家族介護者版well-being scaleの科学的な精度は増す。それだけに、認知症介護にかかる行政担当部局、地域包括支援センターの協力は不可欠である。研究者としてのアカウンタビリティーを忠実に果たすために、研究内容の具体的な説明、データ分析後のフィードバックなどを通じ、研究の社会貢献を視野に入れた多機関との連携作りが必須である。
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Research Products
(4 results)