2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of self-coping support tool for dementia family caregivers' well-being and caregiving environment
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18K12993
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清家 理 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (90626061)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / 介護環境 / 外的妥当性 / 再現性 / 短縮版 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症の介護現場では介護専門職の離職が続き、家族介護者のあらゆる課題に懇切丁寧に関わることが難しい状況にある。専門性の高さが要求される部分に焦 点化して専門職が関わる形式が最善である。そのためには、まず介護者が自らの介護状況(客観的・主観的)を把握でき、状況に応じた対処(コーピング)について、自ら実施するもの、専門職に委ねるものと判断・行動の指針が示され、判断・行動の結果をも確認できる指標が必要である。 以上により本研究の目的は、認知症の家族介護者の健康(身体的・精神的・心理的)および介護環境(内的:介護感情、外的:公的な支援および私的な支援等)に対するセルフコーピングを支援するツール開発である。本研究では、認知症の介護者の心身の健康および介護環境の測定を「well-being の測定」と操作的に定義している。本研究で開発する尺度を新尺度と表記する。 昨年度までの研究で、内的妥当性が確認された44項目で構成される新尺度の外的妥当性検証として、①既存尺度との相関分析、②再現性(安定性)検証として再テスト法(初回調査時から2週間後に再度、認知症介護コンディション評価スケールをテスト)を自記式アンケートで実施した。その結果、外的妥当性のクロンバックα:0.861、再現性テストのクロンバックα:0.887であり、内的整合性が確認された。また、再テスト法による再現性評価(級内相関係数)は0.806となり、0.7が目安とされているため、再現性が確認されたと言える。そして、外的妥当性検証のデータを基に、短縮版の因子分析を実施し、項目数の探索をおこない、内的妥当性を経て短縮版の試作化を実施した。 2021年度は短縮版の外的妥当性、再現性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で被験者の参画が得られない可能性が高かったが、外的妥当性、再現性検証ともに統計的検証に耐えうる100件以上の被験者が得られ、当初予定していた新尺度の外的妥当性および再現性の検証を終えられた。そしてさらに、短縮版の内的妥当性(因子数の探索及び試作化)まで終えることができたため、当初の計画以上の進展だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、新尺度の短縮版の外的妥当性および再現性検証を実施する。その後は、認知症家族介護者の支援介入にかかる研究で本開発尺度を使用し、感度検証を実施する。感度が検証できた後には、新尺度の得点パターンから予測される支援介入を実施し、その効果を検証しながら、新尺度を用いた支援介入モデルの探索を実施する。以上の結果を集約し、新尺度を用いた支援介入マニュアルを作成し、全国的展開をめざす。以上の研究は、2021年度秋に公募が始まる科研費Bを申請し、研究推進を図りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
雇用予定であった人員が想定外の理由(雇用予定者の事情)で雇用しないことになり、人件費の余剰が生じた。次年度は、本開発にかかる論文発表を複数予定しているため、作業の外注(統計解析・英文校閲)で経費を執行する予定である。
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