2019 Fiscal Year Research-status Report
児童福祉施設における性問題介入のためのスタッフトレーニングプログラムの開発
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18K12994
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高岸 幸弘 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (00635170)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニーズ調査 / トレーニングの実施 / 海外視察 / 基礎的トレーニング / 医療機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
スタッフトレーニングのニーズ調査を重点的に実施する予定であったが、本年度は、児童福祉施設(1施設)および医療機関(2施設)でのトレーニング実施の機会が得られたこともあり、トレーニングを実施しながら、現場のニーズ調査も併せて行った。ニーズ調査では、子どもの性問題に関する基礎的な知識の不足が職員の不安の主たる原因となっていることが示唆された。また、加えて、このテーマに関するスタッフ間のコンセンサスが不足していることも明らかになり、それが職員間での対応のばらつきを生み、さらに問題が生じるという悪循環があることが共通の現象として明らかになった。また、うテーマゆえに普段の業務内でコンセンサスを図る取り組みは実施が困難であることも示され、非日常的な枠組みでのOJTの有効性がさらに強まった。 加えて、初年度に実施した海外施設の視察を継続し、児童福祉機関職員のためのスタッフとレーニンの開発と実施を行っているカナダの機関Milieuを訪問した。視察および、職員との議論を通じて、性に特化したトレーニングの開発のためには、その土台となる児童福祉機関職員の基礎的スキルのトレーニングが不可欠であることが示唆された。さらにトレーニングの効果検証の方法として、施設内での問題の発生件数をみるという実務的な指標を指摘されたが、性の問題に関しては、潜在化しやすい特性上、単に問題の発生件数でスタッフトレーニングの効果をとらえることの困難さも浮き彫りとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、海外での情報収集、国内でのニーズ調査、スタッフトレーニングの開発と実施という順序で実施することとしていたが、ニーズ調査とトレーニングの実施を同時並行で実施する必要性が生じた。そのため、現段段階で把握している現場でのニーズを踏まえ、試験的にスタッフトレーニングを実施した。その結果を踏まえ、再度児童福祉施設の性問題の対応に関するニーズ調査を、アンケート形式で実施している。この調査は年度をまたいで実施することになった。また、昨年度に実施した海外視察で得られなかった、児童福祉機関現場の実際の調査を再度実施したため、結果的に、前年度の計画をより充足することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
試験的に実施したスタッフトレーニングの結果を踏まえ、再度ニーズ調査を行ったが、この調査は年度をまたいで実施しており、まずこの調査データの分析を行う。 ニーズ調査の結果および、海外視察で得られた情報を踏まえてスタッフトレーニングの内容を構成し、児童福祉施設を対象にスタッフトレーニングを実施する。
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Causes of Carryover |
アンケート調査の実施が年度をまたいで実施することとなり、集計などの人件費が結果的に持ち越されたため。次年度はそれらを使用する予定である。
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Research Products
(3 results)