2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study focuses on the gender perspective of social workers who support women with life-survivng-difficulties in criminal justice
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18K13001
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
松原 弘子 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (40465654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジェンダー視点 / ジェンダー観 / ジェンダー・ステレオタイプ / ジェンダー視点に基づく協働 / 司法と福祉の連携 / 社会福祉士と弁護士の連携 / ジェンダー・インフォームド・アプローチ / ジェンダー・インフォームド・スーパービジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、触法行為で司法的処分を受け、かつ福祉的支援が必要な女性(以下、触法女性)を支援する弁護士と社会福祉士のジェンダー観が支援に与える影響を探ることにあった。計画立案時は弁護士と社会福祉士へのインタビューとアンケートで触法女性に対する支援観とジェンダーステレオタイプ(以下、バイアス)の傾向を探る予定であった。しかし予備調査の段階で、専門教育で獲得した価値観がバイアスの言語化を阻みやすい可能性が示唆され、パンデミックでの研究中断中には、司法福祉とジェンダーをめぐる社会状況に大きな変化があった。そこで計画を見直し、2023年度に1)米国のフィールドワーク、2)女性の刑事司法ソーシャルワーカーへのジェンダー意識の調査、3)触法女性支援に取り組む弁護士、社会福祉士のジェンダー観を検討するシンポジウムを実施して、バイアスの指標となり得る要素を抽出しようと試みた。1)では、ジェンダー平等が共有された価値観となっているコミュニティであっても、男性支援者がバイアスやジェンダー観を言語化するのは困難であるが、若い世代では変化が生まれつつあると知った。2)では、熟練した女性社会福祉士はジェンダー観が支援に影響を与えていると気づいているが、支援者自身の生育歴、家族関係、支援経験などの影響を受けたバイアスの言語化は困難なことが示された。3)では、そもそも触法女性の支援が根拠とする法体系や社会制度が内在するバイアスを批判的に検討したうえで、専門的な支援におけるジェンダー観が支援に与える影響を考察する必要があることが示唆された。これらの結果から、触法女性に限らず全ての支援には、ミクロからマクロの重層的なレベルでバイアスが影響を与えているため、今後の研究では、支援者がバイアスを意識化し、相対化して捉え直せるような、ジェンダー視点に注目した訓練やスーパービジョンが求められていると考えられた。
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