2021 Fiscal Year Research-status Report
コミュニティにおける高齢者ケアのあり方に関する研究
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18K13008
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
崔 仙姫 明治学院大学, 社会学部, 研究員 (70809029)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コミュニティケア / 高齢者福祉 / 比較研究 / 国際比較 / 地域福祉 / 地域包括ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
現在日本社会の中では老齢や医療・介護、貧困や失業・雇用など様々な社会問題が生じているが、そのなかでも高齢者・介護・医療の問題は、日本のみならずアジア諸国においても生じており、多様な原因から高齢者福祉に関する財政の持続可能性の問題が提起され、各国においてパラダイムの転換が必要となっている。アジア諸国における高齢者ケアをこれまでの日・韓比較研究から得られた「制度の持続可能性」ということに焦点を当てて,日韓だけでなく,アジアの多国家分析を行う。その際に,コミュニティを次善の策として取らず,高齢者ケアにおいてコミュニティが核心的な担い手となる方法を探る。これに対する多様な解決法の中で最も実現可能なものとして、私は「ageing in community」を提示している。そのために,イギリスの理論を参照し,制度の持続可能性の問題をageing in communityの視点に着目するこのアプローチは,日本国内外で主流を占める既存の研究から一線を画しており,その意味で,今後の高齢者ケア研究の方向性に対して一定の影響を与えることができるものと予想される。この点が,高齢者ケア研究の分野における本研究の学術的な特色および独創的な点である。また,先行国と東アジアの諸国とのあいだの比較だけでなく,東南アジア域内の多様性をも探る。 本研究では、日本と韓国の高齢者ケアの持続可能性とコミュニティを活性化・機能強化する解決策を探る。そのため、コミュニティにおける高齢者ケアを体系化・実現化している先進国であるイギリスの経験を参照し、また「ageing in community」を実現しているシンガポールの事例も検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題の一つは,コミュニティと関連する用語の概念を明確にすることである。コミュニティケアの概念は多様な国で多様な用語で使われており,同様の用語でもその意味が合致しない場合が多い。しかしながら,コミュニティケアは日本,韓国のみならず今後アジア諸国において高齢者問題を解決する一つの重要なキーとなることを鑑み,共通の概念を正立させる必要がある。これらの点を踏まえ,本研究では,コミュニティ,コミュニティケアなどの用語の概念を明確に整理した。上記の作業を進行しつつ,次のステップである4か国における諸高齢者ケア政策・制度を2次データを用い,統計的に検証する作業を準備している。 2021年度から研究を再開してある。当初の計画通り,2021年度はageing in community,community careの理論的検討をまとめている。その以降は,以下のスケジュールで研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、1)韓国の現状分析の持続と日韓の関連資料の現状分析,2)国内・外の学会・研究会での中間報告及び論文執筆,2)ageing in communityの理論的成果に関する中間的取りまとめ,2023年度には,1)シンガポールの現状分析と日韓の関連資料の補完,2)国内・外の学会・研究会での中間報告及び論文執筆,2024年度には,分析のまとめ,補足調査の実施,報告書の刊行とその成果を普及する。
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Causes of Carryover |
出産・育児のため研究の執行を中断したため、次年度使用額が生じました。 中断した間の期間の研究を今後進めていきたいと思います。
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