2018 Fiscal Year Research-status Report
外傷性脳損傷患者の社会的行動障害への対応方法に関する研究:家族会代表の視点から
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18K13009
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
鈴木 雄介 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 准教授 (00784232)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的行動傷害 / 高次脳機能障害 / 家族介護者 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は研究代表者が行ってきた外傷性脳損傷患者の家族介護者の精神的健康度に関する継続的な研究である。研究代表者は先行研究で、外傷性脳損傷患者の社会的行動障害と家族介護者の精神的健康度の関連性を明らかにしたが、家族介護者に対しての具体的な対応方法を提案することはできなかった。社会的行動障害とは、高次脳機能障害の全般的症状である記憶・注意・遂行機能の各障害とは異なり、明確な認知リハビリテーションや対処の仕組みが解明されていないだけでなく、医療制度と施設利用などでの対応が著しく困難な障壁が存在するとされている。関連学会のシンポジウムにおいて「社会的行動障害がもたらす生活のしづらさ」が提案されるなど、近年特に注目される問題となっている。 本研究の目的は、介護期間の長い家族介護者の方が精神的健康度は高く、患者の社会的行動障害にも対応できていたという研究代表者自身の先行研究の結果を踏まえ、全国の外傷性脳損傷家族会の代表者もしくは、家族会会員からの相談業務を担っている家族介護者に対してインタビュー調査を行い、外傷性脳損傷患者の社会的行動障害への対応方法を明らかにすることである。本研究は、研究代表者の先行研究を含めた外傷性脳損傷患者の家族介護者の精神的健康度に関する研究で得られた結果から生まれた問いに対して、当事者である家族介護者と共に解を求めることに学術的独自性を有していると考える。 研究の具体的内容および方法としては、所属研究機関の研究倫理審査の承認後、同意の得られた家族会代表者に対し、順次各地の家族会を訪問し個別インタビューを実施していく。インタビューの内容は外傷性脳損傷患者の社会的行動障害への対応方法について家族会会員にアドバイスしている内容について半構成的にインタビューを実施する。当該年度にインタビューを実施し、次年度よりインタビュー内容の分析に着手し、成果報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画に基づき、平成30年4月25日に所属研究機関の研究倫理審査に申請し、同年5月21日に承認を受けた(医大研倫第18-002号)。同年6月に所属研究機関にデータ収集のための旅費等の申請手続きを完了するとともにインタビュー調査に用いる研究備品の納品を完了した。同年7月より研究協力の同意が得られた各地の家族会代表者に対し、順次訪問し個別インタビューを実施した。インタビュー調査の進捗状況としては、7月に島根県、8月に愛知県、9月に静岡県、10月に三重県、11月に広島県、12月に埼玉県ならびに岡山県、平成31年1月岩手県、2月に北海道ならびに奈良県、3月に神奈川県ならびに高知県の、計12名の家族会代表者へのインタビューを完了した。インタビュー調査と並行してインタビュー内容の逐語録を作成し、現在、これまで実施したすべてのインタビュー内容の逐語録化が完了している。尚、インタビューの同意を得てはいるが、家族会の事務所改築や家族会代表者の日程調整が困難等の理由で、インタビュー調査の時期が延期になっている家族介護者が数名あり、進捗としてはやや遅れている状況である。研究実施計画に基づき平成31年4月に、得られたデータの質的分析に用いる分析ソフトならびに視聴覚機材を購入申請し、同月納品が完了した状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づき次年度はインタビュー内容の分析と成果発表を実施する予定である。進捗状況の報告の通り、インタビューの同意を得てはいるが、未だ実施できていない家族会代表への訪問インタビューを優先して実施する。データの収集および逐語録化の完了後のデータ分析には質的研究手法の一つであるKJ法を用いる。具体的には、インタビュー調査にて対象者が述べた内容すべてを分析の対象とし、内容を話題ごとに区切り、最小の記述のまとまりごとに区分し、この区分をラベルと名づけ、通し番号をつける。そのラベルのすべてを内容の類似性で分類し、これについて小カテゴリーを得る。さらに小カテゴリーを相互に比較・統合し中カテゴリーを作り表題を付す。以下、同様に大カテゴリーまで集約し表題を付す。結果の解釈は、どのようなカテゴリーが得られるかは未知であるが、カテゴリーごとに概要を検討していくことで、アンケート調査などの数量化された結果には見られない、詳細で、そして対象者に共通した事柄を導き出し論考していく。なお、分析には質的研究ならびにKJ法の研究に長けた研究協力者の協力を受けて実施する予定である。研究成果の公表として関連学会での発表や論文投稿、関係機関への情報提供に向けた刊行物の作成等を計画している。
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Causes of Carryover |
進捗状況の報告の通り、種々の理由で家族会代表者への訪問インタビューが完了していないために当該年度の実支出額の内、旅費の支出が少なかった。また、インタビュー内容の逐語録化を研究代表者自身が実施したことで、当該年度の実支出額の内、逐語録化に関する人件費の支出がなかった。以上の理由から助成金の次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、残りの家族会への訪問インタビューに関する旅費に使用する。また、当該研究分野の情報収集のための学会参加や、研究成果の発表としての学会発表などへの旅費、英語論文投稿のための英文校正費としての使用を計画している。また,研究計画において、関係機関へのスムーズな情報提供に向けてホームページの作成あるいは研究成果広報用パンフレットの作成等を検討しており、それらの作成費用も翌年度として請求した助成金と合わせた使用を計画している。
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