2021 Fiscal Year Research-status Report
外傷性脳損傷患者の社会的行動障害への対応方法に関する研究:家族会代表の視点から
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18K13009
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
鈴木 雄介 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 教授 (00784232)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的行動障害 / 高次脳機能障害 / 家族介護者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、介護期間の長い家族介護者の方が精神的健康度は高く、患者の社会的行動障害にも対応できていたという研究者自身の先行研究の結果を踏まえ、全国の外傷性脳損傷家族会の代表者もしくは、家族会会員からの相談業務を担っている家族介護者に対してインタビュー調査を行い、外傷性脳損傷患者の社会的行動障害への対応方法を明らかにすることである。13名の研究協力者に対してインタビュー調査を実施し、研究計画書通りに質的な分析を実施した。それらの研究成果を2019年11月に開催された第43回日本高次脳機能障害学会学術総会において報告した。成果の具体的内容として、インタビュー調査から、高次脳機能障害患者と家族にかかわる諸問題,家族会の在り方、医療・教育・行政機関への要望など、様々な貴重で有益な談話内容を得ることができた.それらの得られたデータから,特に社会的行動障害への対応方法に関する内容のみを一まとまりとし、KJ法を用いて分類した。その結果「個々の立場での対応方法の提案」、「本人のやりたいことの開発」、「家族会を含む社会資源の活用」、「家族や支援者間での役割分担」、「社会的行動障害に対する正しい知識の獲得」、「オリジナルな対応方法の提案」などが明らかになった。これまで明らかにされていない高次脳機能障害患者の呈する社会的行動障害への対応方法ならびに患者家族が最も必要とするであろう具体的な情報などに関する重要な知見が得られた。2020年度はインタビュー調査の継続を予定していたが、年度初旬からの新型コロナウィルスの蔓延により、インタビューの継続は困難となり、2021年度は補助期間の延長を申請したが、年度内に感染状況は変わらず追加インタビューは実施困難であった。そこで再延長を申請し承認を得た状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
補助研究期間初年度の2018年度に12名のインタビュー調査を実施し、2019年度初頭にさらに1名のインタビューを実施したが、既に研究に同意を得ているインタビュー予定者の体調や研究実施場所である家族会施設の建て替えによる事業計画変更など、研究者では対処しがたい突発的な事情により、予定しているインタビューが完遂できなかった。そこで一旦インタビュー調査を中断し、交付申請書に記載した研究実施計画の通り、インタビュー内容の分析に着手し、その成果を2019年11月に開催された第43回日本高次脳機能障害学会学術総会において報告した。補助事業の目的をより精緻に達成するためにインタビューを継続し、さらに追加検証を加え、論文化を図るため延長を申請し承認を得た。延長期間の開始早々の2020年度初旬より新型コロナウィルスの蔓延により未実施の研究協力者および施設に対しての訪問およびインタビューは延長期内に実施できず、追加の検証には至らなかった。2021年度に新型コロナウイルスに対する特例としての補助期間の延長を申請したが、年度内に感染状況は変わらず追加インタビューは実施困難であった。そこで2022年度の再延長を申請し承認を得たそこで再延長を申請し承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
再度補助事業の目的をより精緻に達成するためにインタビューを継続し、さらに追加検証を加え、論文化を図るため補助期間の再延長を申請し承認を得た。2022年度は新型コロナウィルスの情勢を見極めつつ、2019年に成果報告した内容に推敲を重ね、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
進捗状況の報告の通り、種々の理由で家族会代表者への訪問インタビューができなかったために当該年度の実支出額の内、旅費、逐語録化に関する人件費、研究協力者への謝金の支出が少なかったため助成金の次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、当該研究分野の情報収集のための学会参加や、論文投稿のための校正費や投稿料としての使用を計画している。また,研究計画において、関係機関への情報提供に向けてホームページの作成あるいは研究成果広報用パンフレットの作成等を検討しており、それらの作成費用も翌年度分として請求した助成金と合わせた使用を計画している。
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