2018 Fiscal Year Research-status Report
在日外国人高齢者の福祉サービスアクセスの阻害要因とコミュニティの有効性の検討
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18K13010
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
安 瓊伊 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 助教 (00752164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在日外国人高齢者 / 韓国・朝鮮籍 / 福祉サービスアクセス / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本国内に住んでいる在日外国人高齢者の社会福祉サービスへのアクセスを阻害する要因を明らかにすることと、同じ国籍と生活文化を有する人々のコミュニティによる支援の有効性について検討することを目的とする。平成30年度は、長年日本に住み続け高齢期を迎える在日外国人高齢者が増えていく中、在日外国人高齢者の中で高い割合を占めている在日韓国・朝鮮籍高齢者とその支援者を対象に、インタビュー調査をとおして、なぜ生活や心身面に課題を抱えていながらその課題を解決するための社会福祉サービスや支援に繋がりにくいのか、アクセス阻害要因を探ることを目的とした。 平成30年8月から9月までに、在日韓国・朝鮮籍高齢者又は在日コリアンに関する先行研究のレビューを行ない、インタビューガイドを作成した。また、インタビュー調査の協力者の推薦を依頼する候補地域の居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの全数の情報をWAMネットから得てリスト化した。10月に研究倫理審査委員会に研究倫理審査を申請し、12月に研究倫理審査委員会から受けた指摘事項に対する対応を行ない、平成31年1月に研究実施の許可を得た。1月中に在日韓国人高齢者面接調査の協力者推薦依頼書を東京都3区と川崎市2区の全ての居宅介護支援事業所と地域包括支援センターに郵送し、2月20日を締め切りとし返信してもらった。3月中に協力者の推薦可の返信を受けた一部の事業所とセンターに連絡をし、調査協力者との面接の日程調整を行なった。3月6日、23日、28日の三日間、東京都の在日韓国人高齢者(家族が同席するケースもあった)と、その高齢者と関わっているケアマネジャー、合計5人に個別インタビュー調査を行なった。他の協力者ともインタビューの日程調整を行なっている。面接内容は文字起こしを行い、質的に分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学研究費に応募した時点では予期しなかった、研究代表者の研究機関の移動があったため、平成30年度前半に本研究に取り組む時間を十分に確保できなく、後半からの稼働となった。また、研究機関の研究倫理審査委員会が2ヶ月ごとに行われるため、研究実施の許可を得るまで時間がかかった。さらに、調査協力を得られた高齢者の緊急入院等が発生し、年度内に実施予定だったインタビュー調査が延期されることが生じた。上記に述べた複数の事情により、当初の予定より進捗がやや遅れる状況になり、目標とした人数に至らないインタビュー調査となり、分析等に進めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、年度前半に居宅介護支援事業所と地域包括支援センターのケアマネジャーの協力を得て、在日韓国・朝鮮籍高齢者とそのケアマネジャー又はサービス提供責任者へのインタビュー調査を実施しながら、韓国語と日本語のできるバイリンガルに音声データの文字化を依頼する。年度後半にはインタビュー調査内容を質的に分析して、在日韓国・朝鮮籍高齢者がなぜ自分たちの課題を解決するため社会福祉サービスや支援に繋がりにくいのかを明らかにする。 同時に年度後半からは、在日韓国・朝鮮籍高齢者へのエスニックコミュニティ(以下、コミュニティとする)の有効性を検討するため、在日韓国・朝鮮籍高齢者が参加している地域のコミュニティについて調べる。そして、そのコミュニティに調査協力を依頼し、同意が得られたコミュニティの集まりや活動に参加し、参与観察調査をするとともに、参与観察の開始時点と終わり時点で参加高齢者とコミュニティ運営側の支援者にインタビュー調査を行なう。このコミュニティ参与観察調査は2020年度前半まで行なう予定である。 コミュニティ参与観察調査を終えて、インタビュー調査で明らかにする在日韓国・朝鮮籍高齢者の福祉サービスアクセスへの阻害要因が、コミュニティとのかかわりをとおしてどのように変化し解消されていくのかコミュニティの有効性を、コミュニティ参与観察調査で得られたデータを用いて検討する。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の対象者である在日韓国・朝鮮籍高齢者の協力者確保が不十分であったことと、調査協力を得られた高齢者の緊急入院により年度内実施予定だったインタビュー調査の延期が生じたことで、インタシュー調査の遅れに伴い音声データの文字起こしにも遅れが生じたため、予定した研究費の一部が次年度使用となった。 次年度使用の研究費は2019年度前半に実施するインタビュー調査の謝礼と研究者旅費と、並行して行なう文字起こしの費用として使用する予定である。
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