2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the barriers to accessing welfare services and the effectiveness of ethnic communities for foreign elderly residents in Japan
Project/Area Number |
18K13010
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
安 瓊伊 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 講師 (00752164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 在日コリアン高齢者 / 生活困難 / 社会福祉サービスアクセス / 阻害要因 / エスニック・コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本で長く暮らしている外国人高齢者が抱えている生活上の困難と、社会福祉サービスへのアクセスを阻害する要因を明らかにし、その対策としてエスニック・コミュニティによる活動の有効性を検討することを目的とした。 2019年度に在日コリアン高齢者と支援者への個別面接調査を行い、分析の結果、在日コリアン高齢者が抱えている困難には、日本語での意思疎通や文字読解ができないことが根本的困難としてあり、健康上の問題による困難や不安的な経済的状況による困難があり、人や地域とのつながりが貧弱であるため、孤立していく傾向にあることが明らかになった。また、社会福祉サービスへのアクセスの阻害要因として、コミュニケーション問題による情報取得の困難や不十分な相談支援体制、在日コリアン高齢者の認識と地域社会との弱いネットワークが示された。 2023年度には、同じ言語と文化を有する人が在日コリアン高齢者を支援しているエスニック・コミュニティの協力を得てその活動内容と、参加している在日コリアン高齢者の生活に及ぼす影響について調査を行った。ボランティア団体1ヵ所とデイサービス事業を展開しているNPO法人4ヶ所の高齢者や管理者、支援者へのインタビュー調査と、それぞれ複数回参与観察調査を行った。在日コリアン高齢者が参加する数少ないエスニック・コミュニティは、共通の言語や生活習慣、文化を共有する同胞の子世代による支援を行っていて、高齢者にとっては気軽に母国語で話し、歌い、母国の食べ物を摂り、安らぎのなかで同胞と交流する居場所となっていて、そこに参加することが生きがいになっていることが明らかになった。 以上の研究から、在日コリアン高齢者を支援するにあたって、言語の壁や心理的委縮など外国人としての課題と経済的側面を考慮しながら人と交流できる居場所の支援が必要であり、エスニック・コミュニティが有効であると考える。
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