2018 Fiscal Year Research-status Report
きょうだいを自殺で亡くした遺族への情報提供と支援のあり方に関する質的研究
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18K13011
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
大倉 高志 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (00761769)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自殺 / 自死遺族 / 兄弟姉妹 / きょうだい / 情報提供 / 支援 / フォーカス・グループ・インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自殺で家族を亡くした遺族(以後、自死遺族)の中でも特に兄弟姉妹(以後、きょうだい)を亡くした自死遺族を対象とし、フォーカス・グループ・インタビュー(集団面接技法)を実施し、遺されたきょうだいが死別後にどのような方法で情報提供や支援を実施されることを望んでいるのか、という点について明らかにすることである。 研究実施計画の1年目は、遺されたきょうだいに関する書籍や論文を国内外から収集し先行研究の検討を実施することであった。書籍については、自殺に限らずに広く死別に関してまとめた内容の文献であってもきょうだいの自殺に関する記述が掲載されている可能性があったため、書籍の題目に「自殺」というキーワードが入っていない場合であっても極力入手するようにし、本文中の記述を丁寧に検討した。論文についても検索方針に従い対象となった論文を全て入手することができた。2年目以降も引き続き、先行研究の検討を進めている。 研究実施計画の1年目におけるもう一つの課題として、2年目から実施する第1回フォーカス・グループ・インタビューへの参加者募集を挙げていたため、国内の自死遺族会や支援団体の関係者の皆さまに直接ご連絡をさせていただき、本研究について丁寧にご説明をさせていただいた上で、十分なご理解と前向きなご賛同をいただいた後に、本研究における参加者募集要件に適合する自死遺族の方をご紹介いただく作業を進めた。1年目においては、ご紹介いただいた参加候補者の皆さまに直接ご説明をさせていただく段階までは研究を進めることができなかったが、2年目の4月以降に、ご紹介いただいた参加候補者の皆さまにも直接お会いするお約束をさせていただき、説明書をご持参の上、本研究について丁寧にご説明をさせていただき、十分なご理解と前向きなご賛同をいただく形で、参加者の募集を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年10月1日から、それまで所属した岐阜県各務原市の東海学院大学健康福祉学部から岡山県総社市の岡山県立大学保健福祉学部に所属先が変更となった。 そのため、自宅と研究室の引っ越し作業の他、新しく赴任した研究機関において研究を再開させるために必要な備品を購入し再整備する必要があり、一定期間、研究を中断せざるを得ない状況となった。 研究実施計画では、1年目に先行研究の検討を実施する計画であったが、収集した先行研究の全てに目を通すことができておらず、また、第1回フォーカス・グループ・インタビューの参加者も確定できなかったため、研究の実施にやや遅れが生じている。 しかし、1年目の目標はおおむね達成できており、2年目の研究を進める上で支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画の2年目においては、第1回目のフォーカス・グループ・インタビューを実施・分析した後で、第2回目のフォーカス・グループ・インタビューにおける参加者の属性を再検討し、参加者を募集の上、第2回フォーカス・グループ・インタビューを実施・分析することとしている。 研究実施計画に従い、着実に研究を進めたい。 万が一、今後の研究実施計画に大幅な遅れが生じる場合であっても、焦って拙速に作業を進めることはせず、研究の最終年度を1年延長する手続きをするなどの対策を実施することにより、参加者の皆さまに余計なご負担をおかけしたり、研究の完成度に支障を来したりすることがないよう、誠心誠意、尽力していきたい。
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Causes of Carryover |
平成30年10月から所属研究機関が変更になったことに伴い、研究実施計画に数ヶ月の遅れが生じると共に、研究環境の再整備のために、当初の予定額を超える物品費の支出があった。そのため、出張する際には、宿泊をせずに日帰りにするなど、旅費の支出を抑えた。しかし、それでもなお、1年目の予算が年度末には不足する恐れがあったため、前倒し支払い請求を実施し、年度末の支出増に備えた。 しかし、所属研究機関の変更に伴う研究の進捗の遅れにより、年度末の1月~2月にも先行研究の収集に追われるなど、研究計画の遅れを挽回することができなかった。以上の理由により、次年度使用額が生じることとなった。 次年度使用額の使用計画については、1年目の3月から、参加者募集を本格的に開始しており、数ヶ月の遅れは生じているものの、2年目の計画実施には何ら支障がないため、研究実施計画通りに予算を執行していく計画である。
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