2019 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析技術に基づいた魚肉の新たな品質評価法の実用化に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
18K13019
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
馬渕 良太 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (00632671)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腐敗指標 / 熟成 / 低温長期貯蔵 / メタボロミクス / 揮発性塩基窒素(VBN) / 一般生菌数 / プトレシン / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2年目)は、1年目の研究計画であった「魚種差の解析」の追加実験及び2年、3年目の計画である「腐敗および熟成による成分プロファイル変化の把握」を実施した。 まず「魚種差の解析」では、これまでに実施した7種に加え、ニジマス、マイワシ、シロサケ、スケトウダラ、ニジマス(淡水及び海水)、トラフグを分析した。また、すでに分析したブリ、マダイについて他地域・条件で漁獲・蓄養した検体を追加した。今後も継続的に魚種を増やしていく予定である。 続いて「腐敗及び熟成による成分プロファイル変化の把握」において、2年目は白身魚であるマダイを用いて低温で長期間の貯蔵試験を行った。血合部分を除去したマダイ普通筋を0℃及び5℃の恒温槽で貯蔵した。未貯蔵をコントロールとし、最大62日間貯蔵し定期的にサンプリングした。腐敗指標として一般生菌数、微量拡散分析法による揮発性塩基窒素(VBN)を測定し、腐敗に至らない日数までの貯蔵を熟成とした。一般生菌数及びVBNは、日数依存的に増加し、0℃より5℃で増加が速かった。これらは既報と同様の結果が得られ、本研究での貯蔵試験の妥当性が確認された。一方、同一試料で行った水溶性一次代謝成分を対象としたGC-MSによるメタボローム解析(GC-MSメタボロミクス)において貯蔵日数と代謝成分の相関性解析を行ったところ日数依存的な代謝成分プロファイル変化が認められた。さらに一般生菌数及びVBNの増加も代謝成分プロファイルと相関性を示し、アラニン、バリンなどのアミノ酸やプトレシンなどとの相関係数が高かった。このような代謝成分は貯蔵によって変化する腐敗や熟成を評価する有効な指標となり得る。次年度(3年目)は、赤身魚を用いた貯蔵試験により腐敗・熟成の魚種による違いや呈味との関係性などを評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(2年目)は、1年目の研究計画であった「魚種差の解析」の追加実験及び2年、3年目の計画である「腐敗および熟成による成分プロファイル変化の把握」のうち白身魚による解析を行った。3年目は赤身魚による評価を予定している。若干の研究計画の変更はあったものの、おおむね予定通りに研究が進んでいるため(2)おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の3年目は、1年目の研究計画であった「魚種差の解析」の追加実験を引き続き行う。現在準備が整っている魚種としては、マサバ、サンマ、マガレイ、サクラマスなどがあり、出来る限り多くの魚種の分析を追加で行う。 また、2、3年目の計画である「腐敗および熟成による成分プロファイル変化の把握」において3年目は赤身魚による評価を行う。1年目から3年目で得られた結果を総合的に統計解析(プロファイル解析)し、腐敗・熟成と代謝成分の関係性について魚種差も併せて評価する。
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Causes of Carryover |
前年度の繰り越し額の一部は、本年度に論文掲載料などで使用した。本年度は、他の研究費で整備された一部の物品購入が不要となったため、未使用の物品費が発生した。次年度使用額は、所属部署の変更があり、継続して研究を行うため研究環境の整備に必要な物品費等の購入にあてる。
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