2020 Fiscal Year Research-status Report
日本人幼児の腸内細菌叢の多様性に着目した食育活動の検討
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18K13025
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
柴田 満 畿央大学, 健康科学部, 助教 (80460939)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 幼稚園児 / 食育 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌は食物繊維を分解して個体に栄養を供給するなど我々の消化吸収機能に大きな貢献をしている。近年、肥満や糖尿病などの代謝異常症の病態では腸内細菌叢の多様性が失われていることが報告されており、これが健康阻害の一因となっていることが伺われる。腸内細菌叢は幼児期以降に一定の組成が確立されると、加齢以外では大きな変動がみられないため、幼児期は腸内細菌叢の確立にとって特に重要な時期である。しかし、幼児を対象とした腸内細菌叢の多様性と食習慣との関連についての報告はない。そこで本研究では、日本の就学前4-5歳児の腸内細菌叢と食習慣、生活習慣、保護者の食習慣との関連を腸内細菌叢の多様性という観点から検討し、腸内環境改善を目的とした食育が腸内細菌叢の多様性を高めることができるかどうかを明らかにすることを目的に研究を進めている。 平成30年7月に、奈良県のA幼稚園(22名)、B幼稚園(80名)の4-5歳児および保護者のうち研究参加への同意が得られた50組を対象として以下の①から⑤の調査を実施した(第1回調査)。①腸内細菌叢解析(幼児対象)、②食事調査(幼児対象):3日間食事記録法、③食習慣調査(保護者対象):簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)、④自記式調査票によるアンケート調査(保護者対象)、⑤身体計測(幼児対象) 令和元年7月に、第1回調査結果の返却を行った。腸内細菌分析および食事調査の結果についての説明と、食生活に関するアドバイスなどを保護者個別に実施した。 令和3年3月に、第1回調査に参加していただいた方を対象に①から③の調査を実施した(第2回調査)。①腸内細菌叢解析(幼児対象)、③食習慣調査(幼児対象):幼児のための簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ3y)、③食習慣調査(保護者対象):簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ) 現在、第2回調査の分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画通り、2つの幼稚園を対象に腸内細菌叢解析や食事調査などを実施できたこと。しかし、第1回調査の実施時期が手続きなどで遅れたこと、腸内細菌叢の検体回収および分析期間が長引いたこと、新型コロナウイルスの影響で第2回調査の実施時期が大幅に遅れたことなどから、全体の研究スケジュールが遅れている。引き続き、検体検査およびデータの解析を行いながら、論文投稿に向けて準備を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第2回調査の腸内細菌叢および食習慣調査の解析を行いながら、第1回および第2回調査の結果から、幼稚園児の腸内細菌叢と食習慣、生活習慣、保護者の食習慣との関連を、多様性の観点から検討していく。また、腸内環境改善を目的とした食育が腸内細菌叢の多様性を高めることができるかを明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、今年度の研究計画が遅れたため未使用額が生じた。次年度に発生する分析費用などに未使用額を充てる予定である。
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