2021 Fiscal Year Research-status Report
家庭の食品ロスの実態・原因の解明とロス削減のためのプログラムの開発
Project/Area Number |
18K13026
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
野々村 真希 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (00803678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食品ロス / 過剰除去 / 消費者行動 / 行動変容 / プログラム開発 / 調理行動 / 環境配慮行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、過剰除去の発生要因に関する質的・量的研究で得た知見をベースに設計した消費者啓発プログラムを、一般市民を対象として実施した。消費者啓発プログラムとは具体的には、食品ロス削減の要素を盛り込んだオンラインのプログラムであり、①食品ロスに関する講義+食品ロス削減の調理実習、②食品ロス削減の調理実習のみ、の2パターンを実施した。食品ロスに関する講義は、食品ロス問題の概要を10分程度スライドで説明するものとした。食品ロス削減の調理実習は、食品ロスを減らす野菜の下処理方法や、家庭の残り物を活用した料理を講師が実演指導し、それと同時並行で参加者が実際に自宅のキッチンで調理するものとした。対照群として、通常の(食品ロス削減の要素のない)調理実習も実施した。 参加者に対し、プログラムの直前および実施1か月後にアンケート調査を実施し、その結果を比較することでプログラムの効果を検証した。アンケートの質問項目は、普段の野菜(ニンジン、タマネギ、白菜、ブロッコリー)の下処理行動、調理行動(残り食材を活用した料理の実施、食材の代用)、保存行動(冷凍保存の活用、冷蔵庫の奥の確認)、食品廃棄の頻度、食品ロス削減意図等とした。 アンケートの結果、①と②いずれのパターンでも、野菜の下処理行動、調理行動、保存行動が食品ロスを減らす方向へ変容したことが確認された。食品廃棄の頻度も低下した。食品ロス削減意図はもともと高かったこともあり、変化はほぼみられなかった。 ①よりも②の方が、行動変容の程度が大きい項目が多く、この度実施した食品ロスに関する講義は、行動変容にあまり役割を果たさなかったことが示唆された。また、対照群よりも①や②の方が行動変容の程度が大きかったが、ニンジンやタマネギの下処理行動に関しては、対照群でも食品ロスを減らす方向へ変容が見られた。アンケート調査自体に介入効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、研究実施者の産前産後の休暇、育児休業の取得により研究を中断したため、プログラムの実施に遅れが生じた。プログラムは実施済みであるが、プログラム実施6か月後のアンケート調査が未完了であり、それをふまえた分析に未着手である。
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Strategy for Future Research Activity |
事業期間の延長により、2022年5月および8月にプログラム実施6か月後のアンケート調査を実施し、その結果を踏まえて分析を行う。その成果を取りまとめて学会報告、論文投稿し、2022年度に本事業を完了する。
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Causes of Carryover |
2021年度は、研究実施者の産前産後の休暇、育児休業の取得により研究を中断したため、成果報告のための学会参加費・旅費、データ処理のための物品費・アルバイトの人件費を支出しなかった。2022年度は、学会参加費・旅費、データ処理にかかる費用等の支出を計画している。
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