2020 Fiscal Year Annual Research Report
Environment-Friendly Full-Colour Dyeing by Utilising Chemical Reactions of Anthocyanins
Project/Area Number |
18K13027
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Research Institution | College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
松原 孝典 産業技術短期大学, その他部局等, 講師 (40735536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アントシアニン / コピグメンテーション / コピグメント / 白髪染め / 天然繊維 / ヒドロキシ安息香酸類 / 酸化 / 金属錯体形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色産業は、多量の化学物質(染料を含む)・エネルギー・水を消費(排出)する産業である。本研究では、染料に関して、天然物を利用し、環境配慮型の染色を達成することが大きな目標である。天然染料による染色では、金属媒染法がよく利用されるが、鈍い色で染色されるケースが大半であり、鮮やかに染色することが難しい(染色できても色褪せやすい)。そこで本研究では、色鮮やかな天然染料の1種であるアントシアニン色素の構造安定化反応(コピグメンテーション)に着目し、色鮮やかでありながら、色褪せしにくい染色法であり、これまでの金属媒染法や酸化染色法と組み合わせ、色調幅を広げることをめざした。 具体的に、次の3点を計画した。①アントシアニン色素を安定的に得る手法を検討、②コピグメンテーションを活用する染色法(コピグメンテーション法)の染色特性を調査、③②と金属媒染法や酸化染色法を組み合わせて色調幅を拡大。 2018年度は、ムラサキイモ色素をつかい、絹布を対象に②と③を調査し、コピグメンテーション法・金属媒染法・酸化染色法という3種の手法で色調幅を広げることができた。 2019年度は、尼崎市特産品「尼いも」の表皮を用いて、抽出溶媒を検討し、抽出色素で絹布の染色性を調べ、①を達した。さらに、研究の展開として、ヒトの白髪を対象に、コピグメンテーション法による染色を試みた。 2020年度は、白髪の染色を継続して調査した。アントシアニン色素は、フェノール酸類・有機酸類などと相互作用し、コピグメンテーションを引き起こす。アントシアニン色素処理ののち、種々のコピグメントで処理し、それらの染色性に与える効果を調べた結果、調査した多くの物質で染色性を高める効果があり、特に、ヒドロキシ安息香酸類が最も染色性を高めた。コピグメンテーションによる構造安定化以外にも、物質の浸透拡散や毛髪に対する吸着性も関与する。
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