2018 Fiscal Year Research-status Report
『食肉のコク』とは?~【消費者の感じるコク】と【コクを構成する官能特性】の解明~
Project/Area Number |
18K13029
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
渡邊 源哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究員 (00782179)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 食肉 / コク / アンケート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、具体的な官能特性用語を「食肉のコク」を表す科学的な指標として提案することを目的とする。まず、「食肉のコク」の客観的な評価に用いる用語の選択するため、「コク」という用語に意味の類似する味覚表現用語の整理を行った。具体的には、文献より味覚を表す54の用語を収集し、これらの用語の意味の類似度について専門家パネリストを対象としたアンケートを行い、類似度行列を作成した。これを用いてコレスポンデンス分析およびクラスター解析を行った。結果として、54種の味覚表現用語は38語に整理された。また、「コク」の意味に類似する味覚表現用語として7語が推定された。 続いて、一般的な消費者がどのような感覚を「食肉のコク」だと認識しているのか明らかにするため、一般消費者および調理従事者に対してWebアンケートを行い、肉料理の「コク」の認識に関係する味覚表現用語を推定した。まず、一般消費者300名および調理従事者100名に対して43種の肉料理名を示し、「コクがあった方が良い」と考える肉料理を選択させた。次に、一般消費者500名および調理従事者200名に対して、特に「コクがあった方が良い」と判定された9種類の肉料理それぞれを喫食した際に得られる感覚としてあてはまると思う感覚を前述のアンケートで整理された38種の味覚表現用語の中から全て選択させ、各用語が各肉料理において選択される確率を推定した。これを用いて主成分分析を行い、一般消費者および調理従事者の「肉料理のコク」の認識に関係する味覚表現用語として12種の味覚表現用語が推定された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、「食肉のコク」の評価に用いる味覚表現用語の候補について整理が終了している。また、Webアンケートにより一般消費者の「食肉のコク」に対する認識が部分的に明らかになった。以上のように、研究はおおむね順調に進捗しているものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
「食肉のコク」を引き出すことが示唆されているペプチドもしくは動物性油脂を鶏肉スープに対して添加し、通常の鶏肉スープと材料を添加した鶏肉スープの識別試験を行う。これにより、肉スープに識別可能な違いをもたらすペプチドもしくは動物性油脂の添加量を明らかにし、「コク」の評価のモデルスープを確立する。30年度に選択した38種の味覚表現用語を用いて、コクモデルスープを表現するのに適切な用語を専門家パネルによるプロファイリングにより決定する。
|
Causes of Carryover |
初年度において鶏肉スープの調製法の構築に時間を要したため、スープの成分分析を行わなかったこと、一般消費者および調理従事者を対象としたWebアンケートが想定より安価に実施できたことなどから次年度使用額が生じた。 これら次年度使用額については、鶏肉スープの添加資材や味成分および脂肪酸組成の分析に関する資材の購入に充当するとともに、研究成果発表に伴う論文投稿費、学会参加費および旅費に充当する。
|