2018 Fiscal Year Research-status Report
中年期の無配偶女性が抱える高齢期に向けた貧困リスク
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18K13033
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大風 薫 お茶の水女子大学, 学生・キャリア支援センター, 准教授 (70783348)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中年期 / 生涯未婚女性 / シングル / 貧困 / 生活設計 / 親子関係 / キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の日本社会において中高年期を無配偶で過ごす女性が増加し、その貧困率の高さが各種の統計調査によって明らかにされている。だが、この問題に対する研究関心は低く、無配偶女性の貧困が、なぜ、どのように生じるのかについての研究は進展していない。そこで本研究は、中年期の無配偶女性を対象として(1)就労、家庭生活、家族関係の実態を把握し、(2)これらの経済面・時間面・社会関係面の困難との関係を明らかにし、彼女らが潜在的に抱える高齢期の経済的な貧困リスクを追究することを目的とする。研究対象の中年無配偶女性は、生涯未婚者(50歳時点で一度も法的な結婚経験がない人)、離別者(子ども有り・無し)、非婚のシングルマザーである。研究期間は4年間を想定し、2018年度はまずインタビュー調査によって、生活の実情を、仕事と家庭内役割、定位家族との関係から詳細に把握した。 2018年度に実施したインタビュー調査は、40~60歳代のシングル女性を対象に、これまでのキャリア、現在の就業状況と収入の水準、居住形態、親やきょうだいとの関係性、家族・親族以外のネットワークの保有状況、今後の生活設計について半構造化面接を実施した。調査対象者は12名、首都圏在住であり、インタビュー時間は一人当たり約2時間であった。現在はインタビューの逐語録の作成を終了し、分析を開始している段階である。 分析開始段階ではあるが、調査対象者において、シングルに至るまでの婚姻やパートナー関係は生涯未婚者・離別者・死別者・事実婚と多様で、そのような経歴の違いにより、現在保有している資源や親との関係性、今後の生活設計は異なる様子が確認でき、将来の生活リスクの内容・程度も異なる様子が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4年間を計画しており、初年度2018年度は、2019年度に予定している量的調査の実施のための準備として、インタビュー調査を実施する予定であった。研究業績の概要に示したように、2018年度は経歴の異なるシングル女性のインタビューを実施することができ、それらのインタビューを分析することで2019年度の量的調査の実施に向けた準備となるため、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は質問紙調査の準備と実施期間として、サンプリング案、調査票の作成とWeb調査を実施する。実査後は、調査データのクリーニング後に、記述統計分析、クロス集計を実施する。具体的な予定は以下の通りである。①サンンプリング、質問項目の策定:4月-9月 ‐質問票については、申請者の大学院時代の研究室におけるポスドクのネットワークや専門家ネットワークを利用して適宜助言をもらい、良質な調査ができるような準備を行う。②Web調査の実施:10月-Webモニターを有する調査会社に依頼し、国勢調査や就業構造基本調査の結果を踏まえてサンプルを割り付けし、調査対象者の代表性を確保できるような工夫を行う。-調査地域:無配偶単独世帯が多い首都圏・関西圏など大都市を中心とする-サンプル・サイズ:1500名、③データのクリーニング:11-12月、④記述統計分析とクロス集計:1-3月、⑤インタビュー調査の研究成果の発信として、『日本家政学会誌』『家族関係学』などへの投稿を計画している。
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Research Products
(4 results)