2021 Fiscal Year Annual Research Report
Poverty risk for old age in middle-aged unmarried women
Project/Area Number |
18K13033
|
Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
大風 薫 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (70783348)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 未婚者 / 無配偶者 / 生活設計 / 親子関係 / 資産形成 / キャリア形成 / 貧困 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の主な成果は以下の通りである。1.労働政策研究・研修機構発行の報告書No.221 所収論文「正社員未婚男女の結婚意向と昇進希望」において、①未婚者の結婚意向は昇進希望と関連し、特に未婚男性にその効果が強く表れること、②未婚女性は有配偶女性と同等に仕事における責任感を有しているが、有配偶女性よりも昇進希望が低く、経済的な問題がなければ仕事をしたくないと考えていることなどを明らかにした。2.年金シニアプラン総合研究機構発行『年金研究』の論文「現役世代男女の生きがいとメンタルヘルスー階層、ライフイベント、資産形成に着目して」において、未婚者は①生きがいをもつ確率が低く、②ひとりで気ままに過ごすことを生きがいと感じる傾向があり、③メンタルヘルスが良好ではないが、④資産形成を行っているほどメンタルヘルスが良好であることなどを明らかにした。 研究期間全体を通じて得られた主な成果は以下の通りである。1.中年期の無配偶女性には、そこに至るまでに未婚継続・離別・死別・事実婚と多様なパターンがあり、経歴の違いが保有する経済資源の多寡や生活設計の仕方に相違を生じさせる。2.貧困リスクに関連する経歴要因として、①親との一貫同居は、金銭管理行動や将来の経済的な見通しに対する自信を抑制してしまう、②転職回数が多くなるほど収入・資産の水準が低く、資産形成の多様性に乏しいことから老後に向けた経済的備えがぜい弱になる、③未婚期間が長期化するとキャリア向上に対する意欲が低下し親のケア役割が就業の意思決定に影響を及ぼすようになることが明らかとなった。以上のことから、無配偶女性の貧困リスクは家族や職業経歴、未婚期間の長短などによる多様性があるといえ、そのような多様な現実を考慮に入れた上で、金銭管理行動や将来の生活設計行動に着目し、貧困リスクの低減に資する要因を検討し続ける必要があることが示唆できた。
|
Research Products
(3 results)