2020 Fiscal Year Research-status Report
丹後縮緬の技術的変遷と手織り縮緬の復元 -立体光学・科学分析に基づく時代別特徴-
Project/Area Number |
18K13039
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Research Institution | Saga University of Arts |
Principal Investigator |
上田 香 嵯峨美術大学, 芸術学部, 准教授 (50510583)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 丹後縮緬 / 絹織物 / 分析 / 織物 / 伝統染織工芸 / 歴史的変遷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究の最終年度で、江戸時代の丹後ちりめんの復元を完了し、各種性能評価テストで現代のちりめんと比較し、その特性を明らかにする予定であった。しかしながら、研究者の勤務大学、研究協力機関がコロナ対応に追われ、製糸および製織等の制作工程が予定通り進行せず、研究に大きな制約を受けることとなった。 この様な状況下にも拘らず、現在最も一般的な国内生産繭である錦秋鐘和を用いた江戸時代の丹後ちりめんの復元はほぼ完了しており、江戸時代に実際に使用されていた国内固有種の繭である小石丸を用いた復元は、小石丸の生産、製糸までは完了しており、製織工程を残すのみである。したがって、江戸時代の丹後ちりめんの復元と現代のちりめんとの比較分析は、約半年遅れではあるが、概ね予定通りに進行している。なお、研究の中間結果は、「千總文化研究所年報 第2号」に「江戸時代の手織り縮緬の復元と新たな展開―千總コレクションの調査・分析を踏まえてー」として寄稿し、掲載されている。 また、丹後ちりめん創業300年の記念として計画された展示、講演会は、コロナ禍でも開催でき、一定の成果を挙げた。研究者も、研究成果を作品として発表するのみならず、副キューレターとして展示会の運営にも関わった。 Alternative Futeures展①Tokyo Dlab Gallaly 2020年10月4日~12月27日、②堀川御池ギャラリー 2021年1月8日~10日、③京都府織物機械・金属振興センター 2021年2月10日~12日展示期間中に丹後ちりめんに関する講演会、ディスカッションも実施した。 本科研費研究を通じて交流した海外を含めた研究者のネットワークは、丹後ちりめんに関連した強撚糸、ジャガード織機などへと発展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナにより、現地に行くことができなかったこと、関連施設での対応が難しかったことなどから約半年遅れて進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で遅くなっていた復元作業を進め、各種性能評価テストを完了させたい。
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Causes of Carryover |
コロナによる研究実験の遅延により補助期間を延長した。その為、差額は当該成果に必要な実験費、制作費など充てる。
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