2018 Fiscal Year Research-status Report
食物由来化粧品原料の加水分解によるアレルゲン性消失と安全性指標の確立に関する研究
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18K13044
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
清田 恭平 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (10516743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加水分解物 / 食物アレルゲン分析法 / 鶏卵アレルゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、加水分解物の安全性指標となり得るアレルゲン量の評価を可能とするために、鶏卵アレルゲンに対する定量法の開発に取り組んだ。本研究では、タンパク消化物(ペプチド)の質量を分析対象とし、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)という高性能質量分析計を利用した鶏卵アレルゲン一斉定量法の開発を試みた。 分析対象には、鶏卵の卵白アレルゲン4種類を設定した。まず、これらのアミノ酸配列のデータベースをそれぞれ利用して、in silicoで消化酵素処理により生じるペプチドを推測し、MRM測定条件を設定した。LC-QTOF/MSを用いて4種類のアレルゲン消化物を分析し、消化物に含まれる物質の網羅的MS、MS/MSデータを得た。このデータを設定したMRM測定条件で解析し、消化物に含まれるペプチドに対するMRMトランジションの有用性確認とprotein blastによるペプチドの特異性確認を行った。次いで、アレルゲンごとに、反応強度の大きい複数のペプチドとそのトランジションを選定し、消化条件(消化時間、温度等)を最適化した。また、選定したペプチドの合成品を利用して、LC-MS/MSの測定条件を最適化した。これらの分析条件下において、各アレルゲン消化物の検量線を 0.156-10 μg/mLの範囲で作成することが可能となり、さらに開発を進めることで、本分析法は定量法として有用となることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目の計画のうち、鶏卵アレルゲン4種類に対する一斉分析法について分析条件を最適化でき、現在は開発までに本分析法の定量法としての妥当性確認を残している。共同分析機器の利用回数が制限されたこと、アレルゲンの消化条件の最適化と分析対象のペプチド選定に時間を要したことが理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、1年目の研究計画で未実施の部分を速やかに推進する。すなわち、食品や化粧品において、添加回収試験を実施して、定量法としての妥当性を確認する。この妥当性の確認は、農薬分析のガイドライン等を参考にして実施する。また、従来のアレルゲン定量法であるELISAとの性能比較を実施する。その後、速やかに鶏卵タンパクの加水分解物の分子量分布を確認する手法の確立に取り組む。
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Causes of Carryover |
予定していた物品の購入を翌年度に延期したため。また、当該助成金を翌年度に速やかに使用する。
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