2020 Fiscal Year Research-status Report
1970~80年代の夜間中学におけるマイノリティ教育実践の歴史的研究
Project/Area Number |
18K13047
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Research Institution | Wakayama Shin-Ai University |
Principal Investigator |
江口 怜 和歌山信愛大学, 教育学部, 助教 (60784064)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 夜間中学 / マイノリティ / 包摂と排除 / 不就学・長期欠席 / 学習権 / 戦後日本社会 / 義務教育 / 公教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、研究を十分に進めることが困難な中、可能な範囲で聞き取り調査、史料調査を進めることになった。 まず、基礎教育保障学会のオンライン研究大会への参加、国立国会図書館や和歌山県立図書館等での史料調査により、1970~80年代の公立・自主夜間中学に関わる史料の収集を行い、また関係者との人脈を構築した。 また、これまでに信頼関係を構築してきた公立夜間中学の現・旧教員へのインタビューや公立・自主夜間中学への視察等を進めた。大阪府内で長年公立夜間中学教員を務め現在丹波篠山自主夜間中学を主宰する人物に対してインタビューを行い、また貴重な史料の提供を受け、現在整理中である。次に、1970年代以降に自主夜間中学運動を通して公立夜間中学3校が開設され、90年代以降に開設された自主夜間中学3校と合わせて6校で奈良県夜間中学連絡協議会を結成している奈良県の状況について、奈良市立春日中学校夜間学級、天理市立北中学校夜間学級、吉野自主夜間中学への訪問調査と関係者へのインタビュー調査を行った。加えて、神戸市立丸山中学校西野分校および兵庫中学校北分校で長年教員を務めた人物へのインタビュー調査を実施した。 このほか、大阪大学マイノリティ教育ラボ第5回研修会「夜間中学のこれまで/いま/これから」でのコメンテーター、神戸市長田区を拠点とする共在の場を考える研究会での報告、和歌山県国際交流センター主催オンラインセミナーでの登壇などを通して、夜間中学研究に関する知見を公開し、関係者と貴重な意見交換を行うことができた。 なお、夜間中学の歴史研究に関する博士論文が第11回東京大学南原繁記念出版賞を受賞し、社会的な評価を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、公私ともに時間が割かれ、また調査や学会報告等にも制限があり、予定通りに研究を進めることは困難であった。しかし、その中でも特に大阪府・兵庫県・奈良県の公立・自主夜間中学の状況について一定の調査の進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は、これまでの研究成果のまとめと公開が課題となる。当初計画よりも、1970~80年代の公立・自主夜間中学に関する基礎的史料調査及び聞き取り調査の幅を広げることができたが、その反面、基礎的な調査の実施に予定以上の時間がかかり、まとまった形での研究成果の公開は難しいことが見込まれる。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で実施できていなかった調査も少しずつ進めながら、可能な範囲・形の成果報告のあり方を模索していきたい。
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